Fan zoneファンゾーン

vol.103 馬渡 和彰  #27『自分にできることを最大限ピッチで表現していきたい』

自分の強みを理解してもらうために必死でやってきた

今シーズン、ツエーゲン金沢から移籍。東京ヴェルディとの開幕戦でスタメンに名を連ねた。
「ヴォルティスにはサイドバックのよい選手がたくさんいますし、お互いにキャンプ中からハードな練習を続けてきただけに誰が出場してもおかしくない状況でした。僕自身、チームに合流してからは、前にボールを運んだり、裏をとったりという自分のストロングポイントを理解してもらおうと必死でやってきました。初めから自分にボールを回してもらえたわけではなく、走って“出せ”とアピールし続けてきた結果、出してもらえるようになったんです。そんな状況の中で監督が自分を選んでくれたことで“やってやろう”という気持ちと、自分の長所をアピールしたいという気持ちがありました。特に試合の前半は今シーズン最初ということでチームに勢いを与えたかったので、相手の背後に走ったり、縦に仕掛けてコーナーをとったり、シュートを打ったりすることで、“行けるぞ”という雰囲気を作ることを意識していました」

開幕戦の前半、鮮やかな左サイドの突破で、何度もチャンスメイクをした馬渡選手。さらに前半5分には広瀬選手からのパスを受け、シュートを打つなど積極的なプレーでその存在を強く印象づけた。
そして前半26分、左サイドでカルリーニョス選手からのロングパスを受けると、相手選手を交わしてゴール前へ切り込み、杉本選手にパス。杉本選手がしっかりと決め、決勝点となるゴールをアシストした。
「前半に比べると、後半は決定機と呼べるようなシーンが少なかったので、ああいうふうに前半によい形が作れたのはよかったですし、これからシーズンを通してああいうプレーを続けていきたいです。開幕戦ではスタジアムに6149人もの方が応援に来てくれて、よい雰囲気を作ってくれました。僕たちが活躍し、勝つことで入場者数も増えていくと思うので、この数字がアベレージとなるように頑張っていきたいですね」

苦しい経験で身につけた
貪欲さ

馬渡選手はサッカーの強豪として知られる千葉県の市立船橋高校出身。高校卒業後は東洋大学に進学した。
「高校2年の時に全国制覇をしていますが、先輩方の力だったと思っています。それでも自分たちが3年になった時、市船のブランドを自分の実力のように勘違いしていた時期がありました。でも大学でレギュラーから外される経験をしたり、よい指導者に出会ったりする中で考え方を改めることができたんです。本当の意味でサッカーを学べたのも大学時代だったと思います」

大学卒業後はJ3のガイナーレ鳥取で、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートする。J2だったチームが、J3でプレーすることになった2014シーズンのことだ。
「社会人1年目であり、父親としても1年目で、さらに東京出身の自分にとって鳥取という知らない土地でのスタートでした。そんな厳しい環境の中で様々なストレスがありましたが、決してあきらめなかったことで貪欲さを持つことができたと思います。今となっては、もし最初からJ1などのカテゴリーでプレーしていたら勘違いしてしまって、数年でこの世界からいなくなっていたかもしれないし、今のようなハングリーさを持つことは難しかったかもしれないと思っているんです。一度、苦しい経験をしたことは本当によかったですし、ガイナーレ鳥取では倉貫一毅さん(現・ヴォルティスユースコーチ)に出会い、人間性や人としてどうあるべきかを学べたことも大きかったです」

プロ3年目にはJ2ツエーゲン金沢に移籍。“個人昇格”と言われたが、シーズンを通して最下位が続く苦しいシーズンとなった。
「本当に苦しかったですね。そんな中でも決して向上心を忘れることなく、絶対にこのままじゃ終われないという気持ちでやってきたので、その経験はヴォルティスでも絶対に活かせると思っています」

自分のやりたいサッカーができるチームだと確信

プロ4年目の今シーズン、いくつかのチームからオファーがあった中で、ヴォルティスでプレーすることを選んだ。
「自分が試合に出られる可能性や練習環境はもちろんですが、リカルドロドリゲス監督が就任することによってポゼッションサッカーになるはずだから、自分が一番やりたいサッカーができ、自分の強みを活かせるチームだと確信したことが大きいです。実際、監督はボールを持つことや自分たちがポジショニングを早くとって常に先手を打っていくことをとても大切にしています。それをポジションサッカーと呼んでいますが、僕からしたらアクションサッカーですね。やっていて本当に楽しいし、もっとうまくなりたい、何か吸収したいという気持ちでサッカーに取り組めているので、このチームで監督と巡り合えたことに感謝しています」

3月4日の第2節京都サンガF.C.戦、3月12日の第3節V・ファーレン長崎戦でもスタメン出場を果たした。
「試合に出られたことに慢心するのではなく、日々、ポジションを奪われてもおかしくないという緊張感を持ちながら、自分にできることを最大限ピッチで表現していきたいです。プレーの精度を高めて常に成長を続けていかなければ、試合に出続けることはできないと思っています」

目指すのはチームの目標であるJ1昇格だ。2013年12月8日、国立競技場で行われたプレーオフ決勝戦で、ヴォルティスが京都サンガF.C.に勝利してJ1昇格を決めた試合を大学生だった馬渡選手は観戦していたという。
「今度は自分がピッチの上で、その瞬間に立ち会いたいです。そのためには1つ1つの試合、1プレー1プレーを大切にして、例えば一瞬のポジショニングに気を抜くことなく、90分間しっかり集中することが大切だと思っています。昇格しようと思ってやっていけば、自然といいプレーができて活躍できると思いますし、それによってまた新しい道も開けてくるはずです。走ってアシストしたり得点したり、チームのために自分の出せる力をすべて出し切りたいですね」

今、サッカーが本当に楽しいです

page top