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Vol.40 上里 一将

宮古島でサッカーを
やっていたことは誇り

上里選手は沖縄県の宮古島出身。そして宮古島初のプロサッカー選手だ。宮古島出身のプロサッカー選手は、まだ2人しかいない。
「僕が小学生の頃は、宮古島でサッカーをやる子どもはそんなに多くなかったんです。プロ野球のキャンプ地だということもあって野球が人気で、うちの親父も野球をやらせたかったみたいです。小さい頃から運動は得意だったんですが、サッカーだけは難しくて、なかなかうまくボールを扱えない悔しい思い出がたくさんあります。でも気がついた時にはサッカーにのめりこんでいました」

小学生の時にJリーグが開幕。宮古島ではJリーグの試合がテレビ中継されることも非常に少なかったものの、自然と将来の夢は決まった。当時、宮古島にはクラブチームなどなく、ジュニアの育成組織もない。小学校から高校まで学校のクラブでサッカーを続けてきた。
「指導してくれる人も多くなく、中学校のサッカー部の顧問はバレーボール出身でしたね(笑)。だから常に自分たちで考えて練習していました。小学校から高校までチームのメンバーがずっと一緒で、みんなうまくなりたいという気持ちがとても強かった。今思い返すと決して恵まれた環境だったとは言えませんが同じメンバーで、いつも楽しんでサッカーをしてきたし、自ら考えて練習に取り組んでいたので、自分の意見を自然と持てるようになりました。プレーに対して“ここは変えたくない”という信念を持ってピッチに立てるようになったのは、ああいった環境でやったおかげだと思います」

ただ、大会なども少なかったため、自分がどんなレベルにいるのか判断できないという悩みもあった。
「小学校の時、九州大会に出て、初めて全国との差を感じました。そこで受けた衝撃が、僕たちを日々グラウンドに向かわせてくれましたし、一生懸命練習する大きなモチベーションにもなりました。今思うと、とてもいい刺激となった大会でした。当時、『プロになるなんて無理』という空気が宮古島ではありましたが、それから数年して、僕がプロになったことで、プロを目指す子どもが増えたと宮古島のサッカー協会の方に聞かされた時は本当にうれしかったです。プレーヤーとして、大きな舞台で活躍するという目標は前から持っていましたが、その話を聞かされてからは宮古島でサッカーをやっていたことが自分の中で誇りになりました。そして、宮古島の子どもたちの目標になれるような選手でい続けることが僕の目標に加わりました」

上里 一将

上里 一将

上里 一将

プレーする姿を
娘に覚えていてもらいたい

宮古高校3年生の時、コンサドーレ札幌から誘いを受け、沖縄を離れて北海道へ。7年間プレーした札幌から昨シーズンはFC東京へ。今シーズンはヴォルティスに期限付き移籍。家族も徳島に来ており、休日は娘と公園でゆったりとした時間を過ごすなど、“すっかりイクメンです”と笑う。
「1歳2カ月になるんですが、めちゃめちゃかわいいです!チームメイトからは『おまえはデレデレし過ぎだ』とか言われたりします。でも、将来“お父さん、気持ち悪い”とか言われる日が来ると思うので、文句を言われない今のうちにベタベタしておこうかと(笑)」

自身のブログでもかわいらしい姿を披露している娘は、ホームゲームにヴォルティスのウェアを着て応援に駆けつけてくれる頼もしいサポーターでもある。そんな娘の存在はプレーにも大きな影響を与えている。
「娘の誕生でサッカーに対する姿勢が変わりました。調子が悪い時は “こんなプレーは娘に見せられない”と思ったりもしますし、より頑張れるようになりましたね。お父さんがサッカー選手としてプレーする姿を覚えていてもらえるように、1日でも長くピッチに立つことを目標にしています。でも、僕ら選手にはいつかは引退する日が来ます。今はまだ具体的に取り組んではいませんが、宮古島とサッカーに育ててもらったので、自分が得た経験を通して宮古島とサッカーに恩返しができるような、例えばサッカーの指導者のような道に進みたいと心の中で思っています」

上里 一将

上里 一将

上里 一将

サッカー人生で
忘れたくない水戸戦でのミス

シーズンも3分の1が終了。その中で今後、決して忘れたくない試合があった。それが4月30日の水戸戦。ヘディングでのバックパスのミスが失点につながり、1-2で敗戦した試合だ。
「自分がああいうプレーをしなければ、勝っていたかもしれない試合でした。あの試合をきっかけに、ピッチに立つ以上、もっと強く責任感を持ってプレーしていかなければならないと肝に銘じました。もちろん誰にでも失敗はありますが、あのミスを今後のサッカー人生でずっと大切にして『あのミスがあったから今の自分がいる』と言えるように戦っていきたいです」

今シーズンの目標に掲げた2得点は、残念ながらまだ達成できていない。まだまだパフォーマンスは満足できるレベルではないが、チーム全体では守備がよくなっており、今後は「自分もチームも、イージーミスを減らしてゲームの主導権を握り、そしてゴールに絡む動きを積極的にしていきたい」と語る。

そして、最大の目標は言うまでもなくJ1昇格だ。過去に在籍した2チーム両方で昇格経験がある上里選手が3つめのチームにヴォルティスを選んだのも、昇格を本気で目指している、挑戦する姿勢に魅かれたからだ。
「昇格のためには選手、クラブはもちろんサポーター、スポンサー、ホームタウンまでもが一体となることが大事。徳島のあたたかい声援にはいつも感謝でいっぱいで、そんなサポーターたちと勝利を喜び合えることがサッカーの魅力だと思っています。シーズンの最後に一緒に喜べるようにこれからもっと頑張っていきたいですね」

上里 一将 - サポーターと勝利を喜び合えることがサッカーの魅力

上里 一将

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