講習会を実施しました

2016-12-14 17:00

先日、徳島文理大学で実施された徳島県サッカー向上プロジェクトにて、「育成年代に必要な身体作り〜トレーニング実践例の紹介〜」と題して講演させて頂きました。

 

今回はその内容の一部をご紹介します。

 

 

 

まず、フィジカルという要素の分類についてです。

 

「フィジカル」という言葉は、「球際の強さ」という意味で使われることが多いように感じますが、実際は求められる能力は多岐にわたり、それをざっくり「スキル」「スピード」「ストレングス」「スタミナ」という4項目の要素に分類して考えています。

 

 

 

スキル → 巧みさ

 

スピード → 速さ

 

ストレングス → 強さ

 

スタミナ → タフさ

 

 


ということです。

 

実際には複合的に絡み合うわけですが、考えを整理する上では便利です。

 

 

 

 

項目別にみていくと、

 

スキルは競技レベルと最も相関関係が高いと言えます。

 

スキルを考える上での項目例として、3本の軸・3方向の動き・腸腰筋・股関節の捉え・肩の細分化・仙骨の意識などが挙げられます。

 

レベルが高い選手はこれらの身体機能が高いということになります。

 

 

 

スピードも競技レベルと関係が深い項目です。

 

超えておきたい基準ラインがあるのです。

 

そして大事なのは、成長の速度や筋肉の質で速いということだけでなく、身体の使い方が上手いから速いという要素が入っていることです。

 

 

 

後天的にスピードの向上に一役買うのがストレングスです。

 

つまり筋力のレベルです。

 

加速というのは力から生み出されます。

 

その力とは「筋力」と「重力」です。

 

重力を利用するのはスキル。

 

筋力を高めるのは筋力トレーニングです。

 

特に大事なのがスクワットで、身体機能を高めるための要素が多く含まれています。

 

スクワットをきっちりやることと、全力スプリントのトレーニングを組み合わせれば、スピードは向上します。

 

原則100kgまではベルトはなしで行います。

 

ベルト無しでできることが一つの機能であるからです。

 

飛躍につながりうる項目です。

 

 

 

最後がスタミナです。

 

サッカーに求められるスタミナは、最終的には間欠的持久力と呼ばれるものです。

 

これは、簡単に説明すると、瞬発力を何度も発揮する能力です。

 

育成年代ではその前提の基礎持久力が非常に重要です。

 

特に、高校生年代では伸ばすべき要素が一気に増える為、その前提として中学生年代のうちに12分間走で3200m以上走れる持久力を身につけることが非常に大切です。

 

高校生年代では、どこのチームも大抵週に6日間の活動や強度の高い練習が待っています。

 

まずそれに耐えれるベースが大事であり、そのひとつの目安が3200m。

 

逆にそれがないと、基礎持久力自体を伸ばすことが必要になります。

 

プラスアルファが必要になります。

 

ユース年代での強度の高い練習に加えて、+αのトレーニングでほかの選手に対して逆転を狙うのはなかなか難しい。

 

怪我のリスクも高まります。

 

スタートからある程度持久力の高い選手は、その持久力の高さから、低い選手よりも当然ピッチの中で練習の密度を上げることができます。

 

密度の差は成長の差に結びつきます。

 

また、研究によると、中学生年代では間欠的持久力よりも、その要素の一部分となる基礎持久力を高めた方が良いとされています。

 

高校生年代での間欠的持久力の伸びしろに影響するわけです。

 

仮に、中学生年代で間欠的持久力が高かったとしても、基礎持久力が低ければ高校生年代で逆転される可能性があります。

 

逆に、中学生年代で間欠的持久力が低かったとしても、基礎持久力を伸ばしておくことで、数年後の逆転現象が狙えるわけです。

 

プロを目指すと考えた場合、そのジャッジがなされるのは高校三年生ですから、そこで間欠的持久力のピークを持ってくることが大切になります。

 

長い目で先を見据えた育成が大事になります。

 

 

そして大事なことは、それらは全て「才能によって規定されるものではない」ということです。

 

思っているよりも非常に多くの能力が、後天的に伸ばすことが可能なものなのです。

 

 

 

フィジカル情報の更新は、この記事をもって年内最後となります。

 

お読み頂いた方々、ありがとうございました。

 

 

 

フィジカルコーチ 青柳


スクワット応用編

2016-12-07 22:00

前回までにスクワットを絡めてスピードアップについて書いてきました。

 

オーソドックスなスクワットについては書いてきましたが、今回の記事ではそのバリエーションについて書いていきます。

 

スクワットは非常に多くの筋肉を動員する種目ですが、人によっては動作の癖や筋肉の使われ方の特徴が出て、実は必ずしも効果的でないことがあります。

 

 

 

 

そこでオススメなのが、以下のバリエーションです。

 

 

 

 

 

バリエーション1

 

 

バランスボールの上に立ち、スクワットを行います。

 

軸の形成に重要な、内転筋群にしっかり刺激が入ります。

 

まずはバランスボールに立つことからスタートです。

 

転んだ時のことを考えて、周りに何もない場所で行ってください。

 

バランスが崩れたら無理せず飛び降りることです。

 

もしくは受け身をしっかりとる。

 

30秒立てるようになったら、スクワットにチャレンジしてみてください。

 

 

 

その後にボールを蹴ってみて下さい。

 

軸足の安定感を実感できると思います。

 

 

 

 

 

バリエーション2

 

 

チューブスクワットです。

 

市販のリング状のトレーニングチューブを膝の上につけます。

 

で、スクワットします。

 

チューブの力に負けて、膝が内側に入らないように、フォームを保ちながら行います。

 

チューブが弱い場合は、チューブを2本・3本に増やして行うと良いと思います。

 

 

 

 

 

これらの2種類のスクワットをしてから通常のスクワットを行うと、フォームがより安定して重い負荷をかけやすくなると思います。

 

それがまた効果的な発達につながるわけです。

 

 

 

それぞれ10回 2〜3セット!!

 

プレーする前に行うのも非常に効果的です!

 

是非試してみて下さい!

 

 

 

 

フィジカルコーチ 青柳


スクワットからスピードアップ

2016-11-30 17:00

スクワットでスピードアップにつながる。

 

そのスクワットの「質」が大切であることを書いてきました。

 

スクワットの「質」については前回までの記事に書きました。

 

しっかり抑えられていれば、トレーニング効果が出やすいスクワットになります。

 

 

 

 

今までの書き漏れとしては、スクワットの動作中の足裏の荷重もひとつ大きなポイントになります。

 

足の裏全体に体重がかかった状態。

 

動作中の荷重が踵よりになったり、つま先よりになったりするのではスクワットとしては不適切です。

 

それもバランスのスキルにつながります。

 

そして、筋肉の使われ方にも影響します。

 

非常に大きなポイントです。

 

 

 

 

で、スクワット動作が出来上がったら、負荷をかけていきます。

 

 

 

 

負荷をかけたスクワット + ダッシュ

 

 

これだけでも100%できっちりやるだけでしっかりスピードは伸びていきます。

 

 

 

高校生年代での目安になりますが、スクワットの負荷は徐々に上げていき、50kg〜80kgくらいの幅でトレーニングします。

 

もちろん選手の特徴によりますので、いける選手はもっと重い負荷をかけていけますし、逆に50kgでも厳しい選手は負荷を落とします。

 

あまり本人にとって重い負荷になってしまうと、足裏の荷重や姿勢が崩れやすくなるので、そんな中で無理に重い負荷を扱う必要はありません。

 

 

 

 

で、スプリントですが、15〜40m程度のスプリントを週に1〜2回、全力で6本前後行うことです。

 

あとはボールを用いた練習の中でも積極的にスプリントすることは大切なことです。

 

 

 

スピードを伸ばす方法は他にも色々ありますが、スクワットとスプリントというこの2つをやり込むだけでも大きな価値があります。

 

 

 

身体は、適切なステップを踏めば適切な向上を示します。

 

 

 

 

フィジカルコーチ 青柳


スクワットを創る

2016-11-23 17:00

スクワットの「型」について書いてきました。

 

で、読んで頂ければ形の理想は理解して頂けると思います。

 

 

 

姿勢、つまり骨のポジションというのは非常に大事で、骨のポジションによって筋肉の使われ方や力の出やすさが変わってきます。

 

で、逆に、筋肉の使われ方が良ければより良い姿勢になっていくんですね。

 

 

 

 

なので、

 

「適切な型」と、「筋肉の使われ方」。

 

両方向でアプローチすることがより効果的であると言えます。

 

 

 

 

つまり、しっかり使われて欲しい筋肉を活性化する。

 

ということになります。

 

 

 

で、そのターゲットとなる筋肉は、

 

 

 

・腸腰筋

 

・ハムストリングス

 

・臀筋群

 

 

ここらへんがしっかり使われて欲しいのです。

 

それ自体を刺激する。

 

色んな方法がありますが、単純にその部分を使われるエクササイズをすれば良いと思います。

 

 

 

四つん這いになって、膝を胸に向かって引きつけ、踵を遠くに押し出すように蹴る。

 

シンプルですが、効果的です。

 

 

 

 

その他にも、調べれば前述の筋肉を刺激する方法はいくらでも見つかると思います。

 

要はその筋肉を鍛えるエクササイズをやればいいわけなので。

 

 

 

 

で、そこからスクワットに移行すると、うまくいくと非常に安定すると思います。

 

しなかったら最初っからちゃんとなってたか、他のエクササイズを追加する必要があると言えます。

 

 

 

個別の筋肉を鍛えることには世間的にも賛否あります。

 

個別に筋肉を鍛えることに終始するのはどうかなと思うところもあります。

 

が、

 

 

例えば、「スクワット」を「オーケストラ」に例えるとどうでしょうか?

 

各楽器がちゃんと自分のパートをできるのであれば、合わせる作業だけで良いかもしれません。

 

が、自分のパートがちゃんとできないとしたらどうでしょうか?

 

それでも良くなるかもしれませんが、個人練習をした方が効果的で良いという話になってきます。

 

 

 

つまり、スクワットで腸腰筋や臀筋群をしっかり使えるようにする為に、腸腰筋や臀筋群の個人練習をする。

 

 

それがスクワットの質を高めることに繋がります。

 

 

 

フィジカルコーチ 青柳