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Vol.01 監督 美濃部直彦

課題と期待

「徳島ヴォルティスは、みんなで何かを変えようと、前向きにがんばろうとしているのがすごくわかるクラブなんです。
社長をはじめ、フロントも、チームも、みんなでこのクラブを変えていきたいという強い想いにすごく共感したし、素直に、僕もその一員になりたいと思いました」
と、美濃部監督。

オファー時の様子を中田強化部長に尋ねてみると……。
「僕もそうなんですけど、美濃部監督自身、サッカー好きでこういう仕事をしているんですから、 サッカーマンとしてこの場にいられること自体が喜びなんだと思います。オファーをしたとき、 『ありがたい話だ。全力を尽くす』と言ってくれました。 選手たちも同じ気持ちでがんばってくれると信じています。 “もうあとがない”そんな緊張感を全員で共有したい。」と語ってくれた。

さて、美濃部監督がヴォルティスというチームに魅かれた理由は他にもある。
まだ若いクラブであり、選手の育成やチームの土台作りにやりがいを感じたことなどがある。
また、社長や中田強化部長が語る長期的ビジョンに共鳴したこと。

美濃部直彦、42歳。
滋賀県立守山高等学校を卒業後、1984年から松下電器/ガンバ大阪、京都パープルサンガを経て、1995年に現役を引退。
1996年から現在まで、京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)でJrユース コーチ、サテライト コーチ、ユース 監督、 普及育成副部長、ヘッドコーチ、監督と、指導者としてのキャリアも積んできた。
なかでも、育成年代のコーチ・監督を務めた8年間が自身のベースになっているという。
「プロの世界ですから、勝敗にはこだわりたい。 でも、選手たちを育てる、育成していくことが、僕はものすごく好きなんでね」
自らを“育成畑の監督”と呼ぶ美濃部監督。
また対戦相手としてヴォルティスを見ている間、疑問に感じていたことがある。 技術や体力はそう低いわけではない。なのに、なぜ成績が低迷しているのか、と」

2008年シーズンからの就任発表が行われた2007年12月14日より約3ヶ月。
監督という立場になりチームを内側から眺めると、見えてくるものがあった。
「成績不振に陥っている原因はひとつじゃない。選手だけが悪いわけじゃないし、クラブが悪いというものでもない。
技術、体力、メンタル、環境、強化、すべてにおいて少しずつ何かが足りないという感じがした。 だから、何かひとつだけ補えばいいという問題じゃないんです。いろんな要素を少しずつ上げていかないと、ベースは固まらない」
もちろん、予算的な問題もある。だからといって、何もできないかといえば、そうではない。
「みんなが自分たちにできることを精一杯やろうとしているのはすごく感じますし、可能性のある選手も多い。 だからこそ、そこにいろんな経験や知識を、僕や中田強化部長みたいに外から来た人間が、刺激していければ、変わっていく可能性がある。 もっとよくなると思うんですよ」
足りないものが多い分、「やりがいがある」と彼はいう。そういう意味でも、ヴォルティスは「最高」なのだと。

監督/美濃部直彦

監督/美濃部直彦

チャレンジ

「ヴォルティスは、今はまだ自分たちで光り輝く力が足りない“小さな太陽”だと思うんです。 でも、輝いていこう! 光を放っていこう! としている姿勢をすごく感じるんですよ。 もちろん、僕ひとりで大きくしていこうなんてつもりではないんですけど、みんなでその光を大きくしていければと思っています」

今やるべきことはただひとつ。この1年間で、チームに必要なことをどれだけ伝えられるか。
「やらなきゃいけないことはいっぱいあります。 それを今年1年間辛抱強くやり続けることが大事。それをしなければ、次のステップは見えてこないわけですから。 ちょっとずつでいいからチームのベースを作ることが、今の僕の仕事だと思っています」
そのためにも「チャレンジしないと何も生まれない」とつづける。
「そりゃ、うまくいくこともあるだろうし、へこたれることもあるでしょう。 そういうことがたくさんあって、はじめて何かが生まれるんですよ」
悪戦苦闘の末、生まれたものがヴォルティスの土台になっていく。
だからこそ、どんな状況でもぶれない精神力を作ることが先決。
「人間、まず何を変えられるかといえば、メンタリティだと思うんです。 明日いきなり技術を上達させろとか、体力をつけろとか、それは難しいと思うんですけど。 メンタル面は今すぐにでも変えられると思うんで。そこは非常に強調していますね」

選手に限ったことではない。
監督自身をはじめ、コーチ、トレーナー、フロント、ヴォルティスに関わるすべての人間が意識を変えていかなければならないと彼はいう。
「だって、そうでしょ? 自分たちがいい加減なことをしているのに『お前たち闘えよ』とか『がんばれよ』とか言っても説得力がない。 僕が選手だったらイヤだよね。『何言うてんの? あんた』って(笑)。 だから、その辺はいちばん最初にスタッフにも伝えましたね」

シーズンを目前に、その成果はあらわれはじめている。
「少しずつではあるものの、メンタル面でも闘えるようになってきたと思っています。 僕らは、普段の練習からすでに闘っているんで、ピッチ以外でもサッカー中心に考えて欲しいと言っているんですけど。 そういうこともできるようになってきました」
それでも「まだまだ足りない」と彼はいう。「結果はまだ出ていない」と。
「リーグ戦がはじまったら、もっと凹むことが増えてくると思います。 でもね、そういうときに下を向かないで、もう一度前を向いてチャレンジする。そのくり返しが、確固たる土台となっていくんですよ」

監督/美濃部直彦

監督/美濃部直彦

想いをひとつに

今シーズンのヴォルティスは“アグレッシブに闘う、攻撃的なサッカー”をチームのテーマに掲げた。
とはいえ、これは単純に“オフェンスに力を入れる”という意味ではない。
「攻撃的なサッカーというとアタックだけだと思われがちなんですけど。 そうじゃなくて、攻撃的なディフェンスをする、攻撃的なメンタルを持つ、そういう広い意味でとらえてもらいたい。 ただ、攻めるんじゃなくて、守備にしても何にしても、すべてにおいて自分たちから向かっていく姿勢。 そういう姿がヴォルティスには必要だと思うし、僕自身もそういうサッカーが好きだから」

ボールを奪いにいくのも積極的に。
守りながらもすべて攻撃につなげていく。
手応えは、日々感じている。だが、それは自分が口にすべきことではないという。
「努力の成果は、サポーターの方々やまわりの人に評価してもらいたいし、評価してもらえるだけのゲームをやらなきゃいけない。 観てくれる人に“変わった”と感じてもらわないと、ほんとうの意味で変わったことにはなりませんから」
そんな評価のひとつひとつが選手たちの自信につながると共に、クラブの大きな歴史にもなっていくはずだと。
「勝ちたいのは当たり前。勝負している以上、勝つために闘っている」
そう熱く語る美濃部監督に、開幕戦に向けての意気込みを尋ねると、 「サポーターのみなさんをはじめ、周囲の人たち全員が『開幕戦で絶対勝つ!』 という言葉を待っているとは思うんですけど、僕は開幕戦までがゴールだとは考えてない。 1年を通してよくしていきたい」との決意を語ってくれた。

そう、闘いはこれから。

3月9日14:00、キックオフ!

ここがスタートラインだ。
「シーズン最初のゲームですし、ホームですし、すごくいい舞台ですからね。 当然勝ちたいとは思っていますし、勝つために努力している姿を見せることはできると思います」
美濃部監督の確信のもと、どんな闘いが繰り広げられるのか。
2008年、目指すは一桁台の順位入り。
「我々の今の力を考えても、背伸びしているわけでもなく、かといって低い設定でもないはず。 そこに向かって、選手、スタッフみんなでがんばっていきます」

もちろん、支えとなるのはサポーターの存在。
「サポーターのみなさんもぜひ力を貸して欲しい。あたたかく長い目で見守ってほしい。 ヴォルティスという小さな太陽をもっと輝かせるために、一緒に闘ってください。 我々もみなさんに『今日はようがんばったな』と思ってもらえるような、何か感じてもらえるような、そんな試合を観せていきます」

すべての想いをひとつに、ヴォルティスは闘走しつづける。

監督/美濃部直彦

監督/美濃部直彦

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