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Vol.52 松井 謙弥

J1以上に厳しい部分もあるJ2でのプレー

2010年から昨シーズンまでプレーしたセレッソ大阪では、リーグ戦への出場機会は少なかったものの、出場したリーグ戦での1試合平均1失点以下、そしてカップ戦の試合で活躍した松井選手。それでも今シーズンは、ヴォルティスへの期限付き移籍を選択した。松井選手にとって4チーム目のチームとなる。
「引退するまで1つのチームにいられるのが一番いいのかもしれませんが、移籍して得られるものもたくさんあります。様々な選手がいて、いろいろなサッカーを経験できるので、自分は移籍が決して悪いものではないと思っているんです。プロ5年目の2009年に、ジュビロ磐田から京都サンガF.C.に期限付きで初めて移籍した時も同じでした。静岡は地元ですし、小学校からジュビロで育ったので、特別な思いもありましたが、より必要とされる場所でプレーするやりがいを大切にしたいと思いました。磐田を離れる寂しさよりも、新しい所でプレーできるドキドキ、ワクワク感の方が断然、大きかったですね。今回、ヴォルティスへの移籍を決めたのも、自分を必要としてもらったことが一番大きいです」

プロ10年目の松井選手は、J2でのプレーは初めてとなる。
「J1とはやっぱりサッカーが違うし、J1以上に厳しい面もあります。そういう厳しい環境の中で、自分がどれぐらいできるかを知りたかったし、もっと成長できるのではないかという思いも強かったですね。実際に試合に出場してみた率直な感想は、難しい、甘くないなということ。どのチームもみんなハングリーで、アグレッシブに向かってくるし、思いきりのいいシュートが来るから予測がつきづらいところもあります。今までJ1でやってきた感覚とはずいぶん違う部分もありますが、そういったシュートを防いでいかないといけない」

松井 謙弥

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プロになって痛感した違い

松井選手は、小学4年生から地元・静岡県掛川市のヤマハジュビロサッカースクールでサッカーを始めた。小学5年生の時からはずっとゴールキーパーだ。
「練習前に遊びでゲームをしていた時、順番にキーパーをやっていたのをコーチが見ていて、やってみるように言われたのがきっかけです。最初は嫌だったけれど、すぐに楽しくなりましたね。ヤマハジュビロサッカースクールでは、育成ゴールキーパーコーチを務めていた足立高浩さん(現・アダチゴールキーパーアカデミー代表)が週に何回か指導してくれました。その後、ジュビロ磐田ジュニアユース掛川、ジュビロ磐田ユースとカテゴリーを上げていくなかで、ずっと足立さんに指導してもらったおかげで、ゴールキーパーとしての今の自分があると思います」

ユース時代から、トップ昇格後も含め、U-19、U-20、U-21、U-22など、各年代の代表も経験している。
「海外の選手は大きくてパワーも違うとは感じましたが、全く違う、歯が立たないと感じたことはないですね。そもそも同じ年齢なわけだし、その差にがく然とするようなことはありませんでした。むしろ、トップチームに昇格してプロになってからの方が、スピードやパワーについていけなかったり、キャッチングができなかったりして、その違いを痛感することが多かったように思います。どうにかしなきゃいけないという焦りを感じていた時、多大な影響を受けたのが、ジュビロ磐田の川口能活さん、佐藤洋平さん(現・ベガルタ仙台GKコーチ)というすごい先輩たちでした。能活さんは本当にストイックなんです。練習前に1時間ぐらいかけて、みっちりトレーニングをするのですが、あのバネのような体はふだんのセルフトレーニングがあるからだと納得しました。一方、洋平さんはプレースタイルが近かったこともあり、タイミングのとり方、キャッチの仕方など、一生懸命まねしました。2人の試合に臨む姿勢、プレースタイルには、リスペクトすべき部分がたくさんありましたね」

松井 謙弥

松井 謙弥

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今、自分が持っているものを熟成させていきたい

開幕戦から全試合、スタメン出場を続けている松井選手だが、シーズンを通して試合に出場するのは意外にも初めての経験だ。
「これまでは何人かいるゴールキーパーの1人という立場だっただけに、試合に出場する責任感や1週間の過ごし方など今までにない経験になるので難しいですね。勝てた試合と同じことを次の試合でやったからといって、勝てるわけじゃないですから、極端に言えば、今やっていることの何が正解かも分からないと思います。でも自分としては、毎試合、いいチャレンジができていると思うし、いい経験を積ませてもらっていると思います。ただ、プロなので厳しく言えば、チャレンジではダメで結果を出さないといけないと思いますので、もっと結果を出していきたいです」

無失点の試合を増やすこと。そして、的確なコーチングでディフェンスラインをはじめ、チーム全体を動かしていくことを追求している。
「ラインを高く保つことで、キーパーが出られるスペースを常に保つのが理想ですが、まずはディフェンスラインの選手たちが気持ちよくプレーできるようにサポート役に徹したいと思っています。後ろが安定していれば、流れはこちらに来ますし、チームも勝てるようになるはずです。逆に後ろがバタバタしてしまうと相手に流れが行ってしまうので、流れを作れるようになりたいですね。そのためにもディフェンスラインとの連携はもちろん、試合の流れを読む力をもっとつけなきゃいけないと感じています。ゴールキーパーは自ら得点ができるわけじゃないけれど、ずっとゼロに抑えれば少なくとも勝ち点1がとれます。それだけに何本セーブしても1本入れられたらダメだと思っているので、入れられないように耐え切りたいし、自分が耐え切ることで流れも作れると思います。そういう意味では、まだ力不足だと感じますね。理想は前線を動かして、攻められず、ボールに触らずに守り切ることです。そして、安定感のあるキーパーになりたいですね。そのためには全く新しいことに取り組むというよりも、今、自分が持っているものを熟成させていきたいです」

松井 謙弥 ~理想はボールに触らずに守りきること

松井 謙弥

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