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Vol.59 大久保 裕樹

今シーズンに向けて
モチベーションを上げていた

高校卒業後、サンフレッチェ広島でプロ選手としてのキャリアをスタートさせた大久保選手。プロ3年目の2005年に移籍した京都サンガF.C.(当時は京都パープルサンガ)では、4年間にわたり、J1、J2で活躍する。
 その後、2009年から栃木SCでプレーし、2009年、2010年シーズンはプロ生活最多となる年間31試合、2011年シーズンは26試合に出場。そして2012年にヴォルティスに加入した。
「昨シーズン、チームのJ1昇格に貢献しようと意気込んで入りました。でも、膝に違和感があり、それを自分でも把握できずにいて、当然、いいアピールもできないし、試合に出場するチャンスもつかめないまま、結果的に右膝蓋腱障害という大きなケガに発展してしまったんです。5月から約8カ月間プレーができませんでした。栃木での1年目に中足骨の骨折で4カ月間プレーができなかったことはありましたが、ここまで大きなケガは初めてでした」

昨シーズンのうちにある程度ケガが回復し、トレーニングにも復帰していたが、フルパフォーマンスを発揮するのは難しかった。
「もちろん、どこかに痛みを感じながら試合に出ることはありますし、常に完璧な状態で試合に出られるわけでないことは分かっています。それでも納得のいくプレーができる状態ではないと認めざるを得ませんでしたね。自分の持ち味はアグレッシブなプレーなので、完璧な状態に戻らなければ精力的に動き回ることはできないと思っていました。でも、それを待つのではなく、今後は自分の状態に応じて出せるものを発揮していこうと気持ちを切り替えて、次のシーズンに向けてモチベーションを作っていきました」

大久保 裕樹

大久保 裕樹

大久保 裕樹

プレッシャーを感じた
3カ月ぶりの試合復帰

そして迎えた今シーズン。開幕戦では先発メンバーとしてピッチに立つ。
「開幕スタメンを目指して、キャンプの時はなるべくパフォーマンスを上げてアピールしたいと思いながらも、一方では無理をしてケガをしないように抑えている部分もありました。開幕戦の先発はチーム内のケガ人の影響もあったと思いますが、それでも大切で特別なゲームに選んでもらったことをポジティブに捉えようと思ったんです。結果を出さなきゃいけないという責任感も感じていたので、出るからにはケガを恐れず、勝つことだけを考えようと決めて試合に入りました。久しぶりの試合で不安がないわけではありませんでしたが、やっぱり試合に出ることが選手としては一番で、わくわく感のほうが強かったです」

その後、一度はメンバーから外れるも、トレーニングでコンディションを上げて8試合ぶりに先発出場した5月3日の第12節ガイナーレ鳥取戦では無失点に抑え、チームの勝利に貢献した。続く第13節ロアッソ熊本戦では、前半40分に柴崎選手の退場で10人となり、厳しい戦いとなる中、体を張ったプレーを続けた。
「今まで制限していたプレーも表現できるようになり、パフォーマンスも上がっていました。熊本戦は勝つことはできませんでしたが、勝負すべきところで攻めるという自分らしいプレーもできて、その後につながる手応えを感じることができた試合でした。でも、その試合後、肉離れを起こしてしまったんです。1年近く休んでいたために、体がハードな動きに慣れていなかったせいだと思いますが、本当に悔しいし、情けなかったですね」

再び、試合から離れて約3カ月。8月11日の第28節松本山雅FC戦で、後半64分に途中出場し、試合復帰を果たした。この時、チームは無敗記録を更新している最中だった。
「自分が入ることで流れを崩したくないと、一番強く思っていました。でも同時にここで結果を出さなければ、好調なチームの中で生き残っていけないという危機感もありましたね。ふだんは試合に入る時にいろいろ考えるタイプではないのですが、さすがに少しプレッシャーを感じながらの出場でした」

そして、8月21日の第30節ロアッソ熊本戦では、久しぶりの先発出場で完封勝利に貢献する。
「ゲーム内容もタフですごくきつかったけれど、三木さん(三木隆司選手)と組んで一生懸命跳ね返しました。気持ちで持っていった部分も大きかったですね。あの試合はもう少しラインを高くして、相手のシャドーの選手を三木さんと潰すのが理想だったと思いますが、相手の裏への飛び出しなどのリスクを考え、あえてラインを下げました。結果的に走る量が増えた面もありますが、絶対にフォワード陣が結果を出してくれることを信じて、最後までしっかり我慢してプレーができました。4月に29歳になりましたが、試合の流れを理解しつつ、状況に応じたプレーができるようになったなと。自分の成長を感じています」

大久保 裕樹

大久保 裕樹

大久保 裕樹

最終戦まで勝ちにこだわった
プレーをしていきたい

千葉県出身の大久保選手は、小学2年生の時にサッカーを始めた。市立船橋高校ではセンターバックとして1年生からレギュラーで活躍。U-18、U-19など年代別の代表にも選出され、3年生の時の全国高校サッカー選手権ではサイドバックとしてチームの優勝に貢献し、大会優秀選手にも選ばれた。
「アグレッシブに行くという今のプレースタイルは、高校の時から変わりません。プロになってから、しっかりとポジショニングを取ることを指導されて、今の自分の形ができました。もちろん、チームの戦術ありきですが、自分としてはラインを細かく動かして、全体としてコンパクトな陣形を保つのが理想です。当然、デメリットもありますが、ディフェンス4人の意識が合っていれば、裏ばかり狙ってくる相手に対してはオフサイドを取ることもできるということもあります。サイドバックでプレーするときもセンターバックでプレーするときは、自分のプレーの良さを出して勝負していきたいですね」

身長177cmと決して長身の選手ではないが、ヘディングにも自信がある。
「ヘディングは京都サンガF.C.にいた当時の秋田コーチ(前・町田ゼルビアFC監督)に指導を受けたんです。秋田塾と呼んでいたのですが、高く飛ばなくても勝てるんだと教えてもらって、うまくタイミングを合わせられるようになりました。あと、ボールを跳ね返す時に足を入れてでもボールを先に触って相手にプレーさせないテクニックは、サンフレッチェ広島の先輩で上村健一さん(現・カマタマーレ讃岐ヘッドコーチ)のおかげです。そうすると相手のフォワードが簡単にさわれなくなるんです。上村さんの横からさっと足を出す動きを間近で見ていて、まねしながら自然に覚えていきました。もう1つ、自分の武器だと思っているのがロングスローです。これは高校と京都サンガF.C.の後輩だった増嶋選手(現・柏レイソル)が得意だったので、自分ももう少し飛ばせるようになりたくて、一緒に練習していたらできるようになったんです。シュート練習を続ければ入るようになるのと同じで、プロになってからも練習すれば通用する武器が増やせるんですよ」

いよいよ今シーズンも残り10試合を切った。現在は膝の状態もコンディションも万全で、最終戦まで勝ちにこだわったプレーをしていきたいと語る。
「自分も含め、チーム内はレギュラーが定着しているわけではないので、その分、高い意識を持って練習や試合に入れます。これはチームとしてすごくいいことだと思いますね。栃木SCでは3位、4位にいながら最終的にJ1昇格を逃した経験をしているし、京都サンガF.C.では昇格も降格も経験していますが、そこで感じたのは、試合に出ている11人だけでは絶対に昇格は勝ち取れないということです。全員が常に準備をして、出場する時には結果を出すこと。そしてチームが一体感を持って進んでいくことが一番大事だと思います」

大久保 裕樹 ~ チームが一体感を持って進んでいくことが大事

 

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