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Vol.60 三木 隆司

ヴォルティスに来てから強くなった“自分よりチーム”と
いう気持ち

いよいよ今シーズンのリーグ戦は残り4試合。昇格争いも最終盤を迎え、今シーズンのヴォルティスは、15位で終了した昨シーズンとどこが変わったのだろうか。
「昨シーズンに就任した小林監督が言い続けてきたことが、ようやくチームに浸透したということだと思います。去年、監督からのアドバイスは個人の戦術に関することが多かったのに対して、今年はチームの戦術に関するものが中心になったんです。結果につながっていくだろうという確信はありました」

1対1に強いディフェンダーとして、安定した守りを見せる。特にシュートブロックには定評があり、距離のあるミドルシュートであっても的確にコースを読み、ブロックするシーンも多い。
「そこは技術や経験だと思いますし、当然ボールに当たりに行っているからなのですが、もし自分に当たらなくても、最低でもファーコースやニアコースを消しておくことで、キーパーや他の選手がコースを読みやすくなるだろうという思いは常に持っています」

今シーズン、出場試合数こそ決して多くないが、出場した7月14日の第24節愛媛FC戦をはじめ、8月18日の第29節カターレ富山戦、8月21日の第30節ロアッソ熊本戦では2試合続けて無失点に抑え、チームの勝利に貢献している。
「試合に出るときも出ないときも、自分のやるべきことは変わりません。与えられた仕事に対して、自分の持っているものを出し切れるように日々準備するだけです。もちろん、試合に出られないことは悔しいですが、個人がよいからといってチームが勝てるわけではありません。自分が出られなくてもチームが勝つことが一番大事だと思っています。もちろん、選手としては自分ありきというのはありますが、ヴォルティスに来てから、自分よりチームという気持ちがより強くなりましたね」

三木 隆司

三木 隆司

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3バックでも4バックでも
やることは変わらない

今シーズンのヴォルティスは、昨シーズンに続き、3-4-3のシステムでスタートした。だが、シーズン途中で4-4-2に変更。それに伴い、3バックだったディフェンスラインのフォーメーションも4バックに変更になった。それがチームが勝てるようになった理由の1つという見方もあるが、三木選手はどう感じているのだろう。
「4バックへの変更については、それほど戸惑いはなかったですね。実は3バックから4バックにシステムが変わっても、チームとしての個人戦術に変更があったわけではないので、ディフェンスとして自分がやるべきことは変わらないんです。もちろん、ポジショニングは多少変わりますし、中盤の人数が変わってくるので守り方も同じというわけではありません。特に3バックの場合、相手チームが1トップか2トップかによって守り方が変わりますが、基本的にディフェンスとしての戦術は同じなんです」

センターバックを任されることが多い三木選手自身だが、現在の4バックに手応えを感じているという。
「これはあくまでも僕の感覚であり、結果が出ているからこそ感じることかもしれませんが、今のチームは4バックになってからしっかり、バランスよく守れていると思います。3バックの時はサイドのスペースが多い分、前からプレッシャーをかけた時に、そこを突かれやすいというリスクがあります。もちろん、それを防ぐためにボランチがついたり、ワイドが上がらなかったりして対処するのですが、結果的にそれが失点の原因になってしまうということがありました。ラインが下がった時にバイタルエリアを攻められやすくなるので、それを防ぐという意味でも4バックになって守備が良くなったと感じています」

三木 隆司

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今シーズンの一番の違いは
攻撃、守備の粘り強さ

三木選手は兵庫県の滝川第二高校を卒業後、1997年に湘南ベルマーレ(当時はベルマーレ平塚)でプロとしてスタート。4年目の2000年に大分トリニータに移籍し、2002年シーズン終了時にはJ1への昇格を決めた。大分ではJ1で126試合に出場。

その後、名古屋グランパスエイトで1年間プレーした後、2009年にヴォルティスに加入。昇格を目前で逃し、4位に終わった2011年シーズンも経験しているが、当時と現在のチームの違いをどう見ているのだろう?
「あのときは、上位のチームに勝てなかったということが一番の違いだと思います。勝った試合は、自分たちが支配する時間が長いなど、勝つべくして勝ったというような内容が多かったのですが、逆に勝負どころでは負けか引き分けになってしまいました。でも、今シーズンの特に7月から9月の12試合負けなしだった時期などを振り返ると、試合運びがうまくいったゲームが多かったですね。それに相手にダメージを与えるような点の取り方ができたり、相手が得点しそうな場面でもしっかり守って失点を抑えられたりするなど、攻撃、守備ともに粘り強かったことが大きいと思います。2011年シーズンのチームにはなかった確実に強さがあります」

J1昇格プレーオフへの進出を決めるべくチームは戦う中で、大きなプレッシャーがかかるであろう試合をどういった気持ちで迎えるのだろうか。三木選手は、大分トリニータで2007年にJ1残留争いも経験している。
「この試合に負けたらJ2に降格という試合のときは、むしろ開き直ってプレーできました。ヴォルティスはJ1昇格プレーオフで戦う可能性がありますが、昇格をかけた良い緊張感の中で試合をするわけだから、どの選手も思いきってやればいいと思っています。きっと注目も集まり、ファン・サポーター、お客さんもたくさん入ってくれるでしょうから、プレッシャーなんて感じることなく、楽しみたいなと。むしろ、そのほうが思いきってできると思います。僕自身、入れ替え戦は経験がありませんし、当然進出が決まれば出場したいと思っています」

最後に今後の試合に向けて聞くと、三木選手らしく結んだ。
「今シーズンも残りわずかになりましたが、これからも自分にできること、そして、チームにできることを全力でやっていくだけです」

三木 隆司 ~ 昇格のプレッシャーを感じずにやりたい

三木 隆司

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