Fan zoneファンゾーン

Vol.66 ソン セファン

高校生の時からJリーグを
意識してプレーしていた

セファン選手は小学校から高校まで韓国でサッカーを続けてきた。ヴォルティス加入時の挨拶で「環境もあまり整わない中でも両親のためにと思って一生懸命プレーしてきました」と語ったように、決して順調にサッカー選手として歩んできたわけではない。
「小学校4年生の時、学校でみんなと一緒にボールを蹴って遊んでいました。サッカーというよりボール蹴りのレベルでしたが、ちょうど地域のサッカークラブの監督が見に来ていて『一緒にサッカーをやってみないか』と誘ってくれたんです。それがきっかけで、5年生になってから住んでいた地域のクラブで本格的にサッカーを始めました。その後、クラブの事情でチームは解散してしまったのですが、父と相談して本格的にプレーをしていくことに決めました」

中学時代は、束草中学校でプレーし、その後は高校でサッカー部に入部した。だが、そのサッカー部も事情から解散することになった。そのため、サッカー部のコーチが選手たちと立ち上げた加平FCでプレーを続けることになった。

韓国では日本の高校サッカーにあたる高校生年代のサッカー大会は、ソウルなどの市や郡単位で地域ごとに行われている。まず、地域の高校やクラブによるリーグ戦が行われ、上位となった数チームが全国大会に進むことができる。
「クラブがある地域には強豪校もありましたし、同じ地域の強豪校でプレーしていたイ デホン選手(サンフレッチェ広島からV・ファーレン長崎に期限付き移籍中)には、試合などで顔を合わせていました。でも、自分がいた加平FCのメンバーは25人ぐらいしかおらず、決して強いとはいえないチームでした。将来、プロとしてサッカーを続けていきたいという夢は持っていましたが、そのチームからプロになった選手もいませんし、ネームバリューもなく、強豪でもないチーム出身の選手が、Kリーグのチームには入るのは難しいというイメージがありました」

実際、韓国では日本の部活にあたる学校でのスポーツ活動は少数精鋭で行われているため、高校や大学に進学する際にサッカー部に入ることができるのは、全国大会などで結果を残した選手だけとなる。高校、大学までサッカーを続けられるのは選ばれた一部の選手のみで、その後、Kリーグでプレーできるのもそうした選手たちが中心となる。
「それなら韓国国内にこだわらず、実力で勝負できるプロのテストを受けて自分の力を試してみたいと思っていました。そのためにも高校生の頃から、監督やコーチには『チャンスがあれば、日本でサッカーをやりたい』と伝えてきましたし、監督も色々なところに掛け合ってくれました。僕自身は、常にJリーグを意識しながら試合に臨んでいました。早くプロサッカー選手になって、親に楽をさせたいという思いも強かったです」

プロの世界で強く感じた
パワーとスピードの違い

1月15日の新加入会見の翌日の始動からプロの練習を体感する。
「まず、今までやっていたサッカーとプロの世界とのパワー、スピードの違いを強く感じています。開幕して2週間経ちましたが、週末のリーグ戦に照準を合わせてフィジカルトレーニングをしたり、相手チームの分析をした上でセットプレーのミーティングをしたりしていくのも初めての経験です。試合後はよかった点、反省点を振り返って次に活かしていくわけですが、こうやって1年間、リーグ戦を戦っていくのだなと。常に相手チームを想定して練習が進んでいく毎日が、自分にはとても新鮮です」

ヴォルティスではセンターバックやサイドバックのポジションを任されているセファン選手。高校1年生までのポジションはフォワードだったが、高校2年生の時に3バックの真ん中を任されたのがきっかけで、ディフェンダーに転向した。
「日本に来てからは、サッカーの戦術的な部分についても以前より深く学べていると感じています。ただ、自分には未熟な部分が多く、センターバックというポジションに集中すると、戦術が疎かになってしまう面があります。逆に戦術を意識すると、センターバックとしての役割が疎かになってしまうんです。こういうふうにやればいいんだと分かったつもりでも、何日かするとできなくなってしまったりして、ショックで落ち込むことも多いです。それでも最近はボールもまわってくるようになり、プレーがとても楽しいです」

小林監督や長島ヘッドコーチからは、「攻撃はもちろん守備でも積極的に」というアドバイスをもらっているという。
「練習中は常に声をかけてもらっていますし、身振り手振りで一生懸命指導してもらっています。自分のことを気にかけてくれていることが伝わってくるので、とてもうれしいです。ただ、その指導をうまく実践できていない部分も多いので、悔しい気持ちもあります。これからはアドバイスを活かして、もっと積極的にプレーしていきたいです」

チームの主力として
活躍できる選手になりたい

韓国以外の国で生活するのはもちろん、親元を離れるのも初めての経験だというセファン選手。現在は同じように高校卒業後、日本に来て、2011シーズンからプレーしているチームメイトのキム ジョンミン選手と過ごす時間が多い。
「日本語も上手なジョンミンが、プライベートでは通訳も務めてくれています。今の生活は何もかも初めてですが、今までやったことがなかった料理に挑戦したり、部屋の掃除も楽しみながらやったりしています。日本語が分からない自分にチームの先輩たちがとても親切にしてくれますし、本当に有難いです。いたずらもいろいろしてくれますが(笑)、毎日、とても楽しいです」

まだ出場機会はないが、ヤマザキナビスコカップ第1節ではベンチ入りを果たした。
「今は試合のメンバーにも入っていないので、まずはしっかりアピールして試合に出ることが目標です。そして、チームの主力として活躍できる選手になりたいですね。さらに先の目標として、年代別の韓国代表も狙っていきたい。そのために日々、一生懸命練習するのは当たり前で、もっと1つ1つの練習の意図を考えてプレーしていきたいと思っています。スペインのセルヒオ・ラモス選手(レアル・マドリードC.F.)のボールを恐れない、体を張ったプレーが憧れなので、自分も力強いプレーを見せていきたい。体を使ったディフェンスを心がけながら、頭脳的なプレーもできるように成長していきたいです」

ソン セファン まずは試合に出ることが目標

ソン セファン 厳しい評価を覆してJ1に定着していく

PAGE TOP