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Vol.67 小島 秀仁

「もっと成長したい」と
移籍を決めた

1度聞いたら忘れない「秀仁」という名前は、まるでサッカー選手になることを期待されていたようだ。サッカー一家で生まれ育ったのは確かだが、由来は父の好きな「秀」、母の好きな「南総里見八犬伝」からとった「仁」という漢字を組み合わせただけなのだと笑う。

幼稚園でサッカーを始め、栃木県の佐川野FCJパワーズからヴェルディSS小山へ。中学卒業後は群馬県の強豪校・前橋育英高校に進む。
高校ではキャプテンを務め、3年生の時に出場した第89回全国高等学校サッカー選手権大会では、大会優秀選手に選ばれるなど活躍。また、在学中の2009年にはU-17ワールドカップにも出場している。

して、高校卒業後、2011シーズンに浦和レッズに加入。だが、加入後3年間でリーグ戦19試合、カップ戦11試合、天皇杯6試合と出場機会に恵まれず、昨シーズンのリーグ戦出場はわずか1試合のみとなっていた。
「浦和レッズに3年間いて一番悔しかったのが、試合経験が少ないことでした。やはり自分にとっても、サッカー選手としての今後を考えても、今は試合に出て経験を積むことが大切だと思ったんです。試合に出ることで初めて自分の夢に近づくこともできますし、自分の掲げる最終目標に向かうためにも試合出場が最も優先順位が高いと考えました。ヴォルティスから声をかけてもらった時、何よりも『チャレンジしてほしい』という言葉に魅かれましたし、『もっと成長したい』と思って移籍を決めました。またJ1でプレーしたいという気持ちも強かったですね」

もちろん、浦和レッズで試合に出たいという気持ちが全くなかったわけではない。
「高校生の自分に声をかけてくれて、これまで育ててくれたチームなので、恩返ししたいという気持ちはもちろんありました。移籍については先輩方にも相談して、意見を聞かせていただいたんです。その上で自分にとって一番経験を積めて成長できるのはどちらかと考えた上で結論を出しました。もちろん、ヴォルティスには自分と同じボランチに選手がいることも分かっていたので、移籍して試合に出られなかったら今まで以上に厳しいシーズンになるということも考えはしました。でも、そういうことを考えるよりも前を向いてやろうと。自分にとって初めての移籍という大きなチャレンジができたことは、よい経験になると思います」

ゲームを支配できる
プレーヤーになりたい

オフシーズンに自主トレーニングを行い、非常によい状態でキャンプインすることができた。
「キャンプでは小林監督が細かなことまでアドバイスしてくれることが心強かったですし、監督が求めていることも理解できました。キャンプ中は、これは楽しみなシーズンになるのではないかと思っていましたね」

だが、シーズン前の最後の仕上げの段階でケガをしてしまう。開幕戦出場は叶わなかったが、黙々とトレーニングに励み続けた。
「応援して、期待してくれている人たちもいただけに、ケガをしたことに焦りや悔しさもありました。でも、そういう時こそ1つひとつのプレーを着実にやっていかなければと。それはレッズ時代、ベテランの選手が、ベンチに入れない時であってもひたむきに練習に取り組む姿を見てきたことが大きいですね。その姿を見ていたら、Jリーグで数年しかやっていない自分のような選手が文句を言ったり、わがままなプレーをすることなんてできないと気づかされたんです」

そんな中、3月9日に万博記念競技場で行われたガンバ大阪との練習試合に出場。小島選手を経由しての展開や、守備面でも再三相手からのボール奪取を見せるなど好プレーを披露した。
「ガンバとの練習試合は自分にとって大きなチャンスであり、ここでやらなければという気持ちがありました。久しぶりの90分間フル出場で疲れましたが、得点ができずに悔しい部分もあり、一丸となってやることがチームにとって大事だと気づかされた練習試合でもありました」

その後、3月23日の第4節柏レイソル戦で後半から途中出場。シュートも打つが、得点はならず、チームは0-2で敗戦した。
「あの試合で、チャンスの見極めが足りないところがあると気づかされました。自分もコンビを組んでいる濱田さんの動きをよく見るようにしていますが、それ以上に濱田さんが自分の動きを本当によく見ながら動いてくれるのでとてもやりやすいです。自分としてはボールをつなぎながらゴールを奪うサッカーをして、その中で決定的なパスや飛び出しでゴールを決めるのが理想のボランチ像です。ヴォルティスでも守って点を取るという、攻守の機転となるのが自分だと思うので、理想とするボランチ像に近づき、もっとゲームを支配できるようなプレーヤーになりたいと思います」

早く自分の持ち味を
出せるようにしたい

その後は3月29日の第5節サンフレッチェ広島戦からスタメン出場。浦和レッズに加入したシーズンに残留争いを経験したことはあるが、ここまでの連敗は初めての経験だ。
「敗戦が続くことが、こんなに苦しいものなのかと。試合では相手にボールを持たれることが多く、自分でチャンスをつくる難しさや一度巡ってきたチャンスを活かさなければいけないというプレッシャーを感じることもあります。そういう難しい状況の中でのプレーが続いていますが、とにかく点を取られないことが大事ですし、早い時間の失点だけは避けなければいけないと思っています」

今は“失うものは何もない”という気持ちでやるしかないと語る。
「確かに負けが続いてはいますが、次こそチャレンジしようという気持ちが強くなり、次につながるプレーも試合ごとに増えてきているので、マイナスに捉える必要はないと思っています。今は勝つために日々の練習をもっともっと本気でやるしかないと思います」

小林監督からは、もっと前に出てシュートを打ってもいいのだとアドバイスされることもあるという。
「元々、点を取るのは好きなのですが、自分としてはチーム状況やタイミングを見極めるための経験が足りないと感じているんです。もちろん、自分が決定的な仕事をするということが重要なので、もっと経験を積んで早くヴォルティスの中で自分の持ち味を出せるようにしたい。個人としてもっとチームを引っ張っていけるようになりたいですし、自分の力でチームを勝利に導けるぐらいの力をつけたいです」

小島 秀仁 “失うものは何もない”という気持ちでやるしかない

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