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Vol.70 廣瀬 智靖

ポジションが変わっても
自分に求められることは
変わらない

廣瀬選手は2008シーズンから6シーズンプレーしたモンテディオ山形から今シーズン、期限付き移籍した。そのきっかけとなったのは、2008シーズンから2011シーズンまでモンテディオ山形で指揮を執っていた小林監督だ。
「ヴォルティスに移籍を決めた一番の理由は、伸二さん(小林監督)が声をかけてくれたことです。J1残留というチームの目標を自分の目標として、少しでもヴォルティスの力になれればという思いがありました。チームは気さくな選手が多く、とても溶け込みやすかったですね」

1次キャンプ中に行われたFC今治との練習試合では、高崎選手のヘディングに豪快に飛び込んで、ヴォルティスの今シーズン初ゴールを決めるなど、順調な仕上がりを見せていた。
「キャンプでは最初から飛ばしすぎて、早く仕上げすぎてしまったのかなと。その後、細かいケガが続いてしまって、開幕に間に合いませんでした。最初は試合に出られなくて悔しかったですが、気持ちの切り替えは早かったです。コンディションを確認しながら自分のペースで練習やトレーニングを続けていましたし、6月から中断期間もあるので焦らないように心がけました。おかげでいい感じで体を作ることができたし、自分自身に気持ちが向かったことでコンディションもどんどん上がっていったんです。試合に出てチームに貢献できなかったのは悔しかったですが、チームを外から見られたことはよかったと思います」

開幕から2カ月後となったが、5月11日に行われた京都産業大学との練習試合で実戦に復帰しフル出場。後半35分にはゴールも決めている。
「まず、90分間やれたことが大きかったです。その中で自分のプレーができればいいなと思っていましたが、点を取れたことが自信になりました。あの練習試合をきっかけにコンディションもさらに上がっていったんです」

そして、5月21日のヤマザキナビスコカップ第4節ヴァンフォーレ甲府戦では、後半65分に途中出場。これがヴォルティスでの初めての試合出場となった。
「5月末は、ナビスコカップの5連戦があるので、少しでも試合に絡みたいと思って、この試合に照準を合わせてやってきました。試合から離れていた分、試合に対しての姿勢も変わりましたし、気持ちもフレッシュでした。それがプレーにも出たと思うので、すごくよかったと思います。試合ではまずドリブルをはじめ、得点に絡むことや前を向いてどんどん行くという自分のストロングポイントを出したいと思っていました。それは監督にも言われていたことでしたが、自分にできることを徳島の人たちに知ってもらいたいという気持ちもありました。結果は負けでしたが、特にヴァンフォーレ甲府戦ではそういうプレーができたのは個人としてはよかったです」

その後の第5節名古屋グランパス戦では先発出場を果たし、続く第6節大宮アルディージャ戦でも途中出場している。
「戦術によってシャドー、ワイドというようにポジションが変わりますが、どの試合でも僕に求められている役割に大きな違いはありません。守備をしっかりやりながら、攻撃の面ではチームの流れを変えるためにアクセントになったり、溜めをつくったりといったことをやり続けなければいけない。名古屋グランパス戦でもボールを受ける位置、受けた後の判断などを監督と何度も確認した上で、自分がアクセントになったり、溜めをつくることで逆側のシャドーだったツーさん(津田選手)が抜け出せたらいいなと思っていたのですが、そういう役割はしっかり果たせたと思います」

サッカー観が変わった
モンテディオ山形での
1年目

廣瀬選手は埼玉県出身。小学校3年生から地元・熊谷市の江南南サッカー少年団で本格的にサッカーを始めた。原口元気選手(浦和レッズからヘルタ・ベルリンへ移籍)なども輩出している強豪チームだ。
「小学校3年生のはじめに江南南にスカウトされたんです。初めはセンターバックでしたが、どんどんポジションが上がっていって、小6の時はトップ下が中心になっていました。中学入学後は、江南南から多くの選手が進んでいたクマガヤサッカースポーツクラブというクラブチームに入りました」

中学卒業後は浦和レッズのユースに進もうかと考えていた時、自宅まで群馬県の前橋育英高校の監督が訪ねてくる。
「監督の熱意を感じ、前橋育英に進むことに決めたんです。入学前の春休みからトップチームで練習をさせてもらって、とてもいい刺激になりましたし、ここでなら成長できると感じました。あの時、ユースではなく、高校に進んでよかったと思っています」

そして、高校卒業後の2008シーズンにモンテディオ山形に加入。この年はJ2のカテゴリーに属しており、廣瀬選手はリーグ戦1試合に出場し、U-19日本代表にも選出された。
「1試合しか出られませんでしたが、本当に濃い1年でした。やはり伸二さん(小林監督)、長さん(長島ヘッドコーチ)との出会いが大きかったです。高校では自分がチームの中心でしたし、4-4-2のフォーメーションの左右などのトップ下的なポジションだったこともあり、自分にボールを集めろという感じでプレーしていたんです。守備はしないし、どこか勘違いしていたんでしょうね。そこを完全に叩きのめされて、サッカーに対する気持ちや取り組む姿勢を改めて教えてもらいました。おかげで成長できましたし、サッカー観を見直すこともできました。あの時期に学んだことがサッカー選手としてのベースになっています」

そして、加入2年目の2009シーズンはチームの昇格とともにJ1の舞台でプレー。廣瀬選手はリーグ戦16試合に出場し、1得点を挙げている。さらにヤマザキナビスコカップでは6試合に出場して2得点。天皇杯では2試合に出場し、1得点を挙げる活躍をみせた。
その後、チームが2010シーズン、2011シーズンとJ1で奮闘する中、2011シーズンにはリーグ戦19試合へと出場試合数を伸ばしたが、シーズンを通して出場するまでにはならなかった。
「もちろんシーズンを通して試合に出られれば、それはすばらしいことだと思います。でも、調子のいい選手が試合に出て、どんどんチームを活性化していけばいいし、それが競争にもつながるので、自分としてはシーズンを通して試合に出ることに強いこだわりはないんです。シーズンの中で要所要所に大事な試合というものがあると思うので、そこで使ってもらえるような力を出せる選手でいたいと思っています」

強気な守備と
思いきりのいい攻撃が課題

2009シーズンに初めてJ1に昇格したモンテディオ山形で、小林監督と共に3シーズンJ1で戦った経験は、初のJ1で定着をめざすヴォルティスでも活きるはずだ。
「山形の時も厳しい状況は何度もありました。でも、どんなに負けが続いたとしても、自分たちがやることがブレなければ必ず流れは来ます。その流れを掴むか掴まないかの違いだと思うんです。今のチームの課題は、まず前半で点を奪われないで先制点を取ること。引いてばかりではなく、ボールを奪いにいく強気な守備も大事です。まずはパスコースを限定して守った上で、点を取ることが課題だと僕自身は思っています。前半を0-0で折り返し、失点ゼロで初勝利となった第10節のヴァンフォーレ甲府戦はまさにそういう試合でしたし、そういう意味では第4節の柏レイソル戦も惜しかったと思います。やはり失点しないことが大事だし、失点したとしても大崩れしないという認識を選手全員がしっかり持ってやらなければいけません」

一方で攻撃については、勇気を持ってしかける、前を向いてシュートを打つといった思いきりのいいプレーが大事だと考えている。
「ファン・サポーターのみなさんもそういうプレーを求めているのではないかなと。ただ、ポゼッションは大事ですが、相手がゴールに向かった時にどれだけの人数が切り替えて対応できることも大事ではないかと思います。がむしゃらに皆でゴールをめざすのではなく、常に緩急をつけてやっていくことも必要です」

7月19日の第15節名古屋グランパス戦からリーグ戦が再開し、チームにとっては厳しい闘いが始まる。後半戦からフル出場をめざす廣瀬選手だけにリーグ戦再開にかける思いも強い。
「当然、もっともっと個のコンディションをあげて、レベルアップしていく必要がありますし、その上でチームとしてやることを統一して7月からの試合に備えたいです。自分自身の気持ちは全くブレていないので、いつも通り続けていくことがチームにとってプラスになると信じています。自分にとってJ1でのプレーは2011シーズン以来なので、ヴォルティスに来た時、開幕が本当に楽しみでわくわくしていたんです。今、チームとしては厳しい状況が続いていますが、それでもナビスコカップの名古屋グランパス戦などは本当にサッカーが楽しかったですし、今、またそういう気持ちになってチャレンジしていかなければいけません。J1ではどんなプレーをする選手なのかあまり知られていないわけですから、思い切りやりたいですね。そして、試合でできなかったことは練習を積み、もっともっとうまくなって成長したいです」

ブレずに続けていくことがチームのプラスになるはず

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