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Vol.71 千代反田

厳しいシーズンになることは予想していた

これまでアビスパ福岡、アルビレックス新潟、名古屋グランパス、ジュビロ磐田など、J1、J2でプレーしてきた千代反田選手。ヴォルティスの今シーズン前半の結果についてどう受け止めているのだろうか。
「いくつかのチームでプレーしてきて、J1とJ2には大きな差があることを感じてきました。選手個々のレベルもかなり異なり、それはすぐに埋まるものでないということも感じていたので、当然、レベルの差はあるだろうと。それだけに厳しいシーズンになることは予想していました。特に昨シーズンはプレーオフで勝って昇格したわけですし、サッカーの場合、特別なプレーをする外国人選手などがいればチームが変わる場合もありますが、昨シーズンからの戦いを積み上げる形でシーズンに入ったわけです。それでもやることはやろうと思っていた結果が今の順位になっているので、それをチームみんなで見つめて、少しでも努力していくことが今は大事だと思います」

アビスパ福岡では2005シーズンにJ1に昇格したものの1シーズンで降格を経験している。
「入れ替え戦まで進んで残留できなかったのですが、守備をすることはしっかりできていたんです。失点が少なかっただけに得点できれば、という状況でした。それでも乗り越えられなかったということで、昇格した次のシーズンが難しいということは事実だと思います。ただ、ヴォルティスというチームにとっては、これがJ1での1年目です。若い選手も多いので、今、J1のさまざまなチームと対戦することは財産になると思いますし、チームとしてはいい経験をしていると思います」

千代反田選手は、2003シーズンにアビスパ福岡でプロサッカー選手としてのキャリアをスタート。J1に昇格した2006シーズンまで在籍後、2007シーズンからはアルビレックス新潟に加入し、2009シーズンまでプレーした。
「新潟での2009シーズンは特別でした。スペースがある中でも1人で守ることができ、1対2の状況でもゴールキーパーと連携して守れていたんです。まさに閃いたことが正解になるような全部相手からボールを奪えるイメージで、成熟した1年でした。今はそういう守備を取り戻す戦いになっていますが、ずっと試合に出続けることによって出てくる感覚だと思っているので頑張らなければいけません」

その後、2010シーズンに名古屋グランパスへ。その年にJ1で優勝も経験している。
「新潟にいれば、数年間、試合に出続けることはできたかもしれませんし、コンディションもよくて怪我をしない自信もありました。それだけに悩みましたが、移籍するからには当然、レギュラーでポジションを奪えると思って決断したんです。ただ、あまりリサーチせずに行ったので苦労しました。特にゾーンディフェンスを敷いていて、今までの自分のやり方や考え方、ふだんのトレーニングでのコンディションの作り方なども違いがあり、やはり移籍というのは難しいものだなと。優勝した時はトゥー(闘莉王選手)がケガをしたために、大事な時期にレギュラーとして出場できました。クローザーのような使われ方もしていて、1点差の試合で最後の時間を守り切る形で10試合ぐらい出場したと思いますが、全て負けることなく試合を終えられたと記憶しています。本来の目的はスタメンで出場することでしたが、辛うじてサブのメンバーとして貢献し、最低限の仕事はできたと思います。ただ、2年間フルで試合に出ない中でのコンディション作りは大変で、もっと厳しいチャレンジをしていかなければいけないということは感じていました。そこで磐田への移籍を決めたんです」

頭に浮かんだ展開通りに
進んだ最終戦とプレーオフ

2012シーズンにジュビロ磐田に移籍したが、「人生でここまで練習したのは初めてではないか」というぐらい練習がハードだったと振り返る。
「練習をして体が回復し切らないまま練習をするというくり返しでした。ケガをしそうだと感じるほどでしたが、やはり初めて出場のチャンスをもらった試合で肉離れを起こしてしまいました。そういう状況だったので、名古屋での2年間以上に試合に出るのが難しかったです。本当に力がある選手であれば、どんな状況でも試合に出て活躍できると思いますが、自分はそういう選手だとは思いませんし、やはりコンディションがよく、活躍していかなければ試合には出られないと思っています。それを考えると、移籍のタイミングや移籍先の状況が選手に合っているかを判断するのは難しいですね。結局、同じポジションに別の選手が補強されたこともあり、磐田では1シーズンだけの在籍となりましたが、環境も含め、すごくよいチームでプレーできたと思っています。森下(仁志)監督は練習はハードできつかったですが熱い方で、選手もみんな高い意識でトレーニングをしていました。新たに出場機会を求める中、実は磐田に移籍する際も熱心に誘っていただいたこともあり、ヴォルティスに移籍することを決めました」

そして、2013シーズンにヴォルティスに移籍。だが、開幕直前に軽傷を負い開幕を回避。4月に復帰するも、今度は6月に腕を骨折して長期離脱することに。しかし、9月に復帰後は橋内選手とのコンビで、特にシーズン終盤はJ1昇格に大きく貢献した。
「腕の骨折は残念でしたが、個人的には試合を重ねることができれば良くなっていくイメージしかありません。復帰した1試合目は、ちょうどチームが勝てなくなって来た時期でしたが、自分自身は1試合やってしまえば心配はありませんでした。福岡や新潟にいた時はほとんどの試合に出ていて、コンビを組む選手も代わっていましたが、コンビを組む相手にはセンターバックとして “やりやすい”と言ってもらえることが多かったです。ハッシー(橋内選手)はスピードがあり、人にも強くて心配せずに組めました。プレーオフを控えた終盤の試合ではよい攻撃ができていませんでしたし、凌ぐ展開が続いていましたが、みんなでしっかり守っていればチャンスが来ると思っていました」

リーグ最終戦となった第42節V・ファーレン長崎戦に1-0で勝利して4位となり、プレーオフへ。準決勝でジェフユナイテッド千葉と引き分けとなって迎えた京都サンガF.C.との決勝では、前半39分にコーナーキックから豪快なヘディングで得点し、後半は2-0で守り抜いた。
「あの時は言ってしまうと実現できなくなりそうで言いませんでしたが、最終戦で長崎に勝って、準決勝で千葉に引き分ければ、決勝で京都にも勝てるのではないかと思っていました。実際、終盤はそうやって頭に浮かんだ展開通りに進みましたし、最後の試合で4位になった時、その状況を最大限活かせると思っていました。プレーオフ自体には賛否両論あると思いますが、昨年は盛り上がり、ヴォルティスにとっても一番よい形で終わってよかったと思っています」

ボールを奪取することに
こだわっていきたい

7月19日にアウェイの豊田スタジアムで行われた第15節名古屋グランパス戦から、いよいよリーグ戦が再開。中断期間中、チームは9日間にわたる沖縄での強化キャンプを行い、体力と技術の向上を図ってきた。
「沖縄キャンプは地獄というか、90%もの湿度があるところでは体がこんなにも動かないということを痛感しました。結果が出ないと判断はできませんが、フィジカルは上がったと思いますし、後半戦に臨む覚悟はできています。前半戦では点数を多く取られて負けたりしましたが、3月23日の第4節柏レイソル戦は勝てはしなかったものの、かなりよかったと思いますし、チャンスもありました。個人的にはああいった形で戦う中で、どうにか勝っていくということをしていきたい。一人ひとりが一生懸命走り切る積極的なサッカーをして、その中で良い奪い方ができた時に攻めてゴールを奪うということが選手の成長にもつながっていくと思います。一人ひとりが対面する相手に負けないレベルにならなければ個人の成長もないので、かなわない部分があることも経験しながら、毎試合、少しずつ修正していきたいです」

では、守備陣として、これからの戦いで大切にしたいのはどんなことなのだろう。
「まず、ボールを奪取することにこだわっていきたい。相手のミスを待つのではなく、高い位置でボールを奪えれば一気にチャンスになるわけです。それは守備の誰もができることで、体を張って相手からボールを奪って攻めるということが大事だと思います。もし、自分がボールを奪えなくても、ディフェンダーがしっかり体を当てることで、相手のトラップが大きくなったりすれば、別の選手がボールを奪うことができます。今、足りないのはこの部分だと思うので、それができるようになればチャンスは広がるはずです。奪いに行くという判断は当然、リスクもあると思いますが、そういうことをできるようになっていかなければいけません。さらにディフェンダーはべったり引くのではなく、もう少し人に対してしっかりいけるようにしなければ、攻撃に移ることができないと思っています」

そして、最終的には勝つことが目標だが、戦い方にもこだわっていきたいと語る。
「失点を減らすことは大切ですし、当然、勝ってみんなで喜び合えることが一番の目標ですが、まずはそこに至るまでの90分間、球際を強く行って、走り切って、めいっぱい戦うことが大事です。スポーツはそうでなければ観る価値がないと思います。サッカーは生きるか死ぬかのスポーツだということは個人的にずっと思ってきたことで、やはり戦わなくてはいけないんです。だから、積極的にボールを奪うシーンが見られるような、観ている人も楽しい、自分たちも“戦っている”と思えるサッカーをしたい。そうすれば観に来てくれたファン・サポーターのみなさんにも、きっと何かを感じてもらえると思います」

90分間めいっぱい戦うことが大事

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