Fan zoneファンゾーン

Vol.75 阿部 一樹

全員が前を向ける雰囲気をつくっていく

ヴォルティスに加入して6シーズン目となる阿部選手。今シーズンもいよいよ終盤となったが、現在のチームをどんなふうに見ているのだろう。
「小林監督が就任して2年目、監督のサッカーがようやく浸透したのが昨シーズンだったと思います。J1昇格プレーオフ決勝で京都サンガF.C.に勝利して昇格を決めた時の気持ちを持ち続けて、チャレンジしていこう、絶対勝ってやろうという気持ちで今シーズンに臨みました。J1でのプレー経験がある選手も多い中、それでも結果が出ないというのが今の状況だと思います。チーム全体がもっとチャレンジする気持ちを持ち、声を出していくなど、練習の時から雰囲気を作ることが必要なのかなと。そうすることで負けが続いた時や複数失点してしまった時、なかなか得点ができない時でも、全員が前を向くことができるのではないかと思います。今、一番大事なのは、限られた時間の中で一致団結して、声を出して厳しくやっていくことです。そして目の前の1試合1試合でチャレンジを続け、そこで通用した部分、しなかった部分を見つめ、次の試合までに改善していく。その積み重ねしかないと思います」

2011シーズン途中にはJ1のセレッソ大阪に期限付き移籍した経験もある阿部選手だが、J1とJ2の違いをどう感じているのだろうか。
「あくまでも僕個人の考えですが、ゴールキーパーからのいいフィードやいいプレーが得点につながったり、逆に1つのミスが失点につながったりしやすいのがJ2との大きな違いだと感じます。だからこそ、1つ1つのプレーにより集中していきたい。セレッソでの経験や今シーズンJ1の舞台に臨むことで、試合を想定しながら練習することができていますし、練習試合でもいいプレーができていると感じています。一方、1つ1つのプレーに集中してお互いにカバーし合うことを選手全員が意識することで、失点が少なくなり、得点にもつながるところはJ1でもJ2でも同じです。だから僕個人としては自分のストロングポイントをもっと磨いていきたいですし、みんなに刺激を与えられるようなプレーができるようにこだわって取り組んでいます」

四国サッカーリーグでの
経験が自信につながっている

徳島県徳島市出身の阿部選手。中学生までは徳島のクラブチームであるプルミエール徳島SCでプレーをしていたが、高校入学と同時に徳島を離れ、愛媛FCのユースチームに加入する。
「当時はヴォルティスにユースチームがなかったですし、プロサッカー選手になりたいという夢があったから、キーパーコーチのいるクラブで指導を受けたいと思ったんです。ユースでは1階に共同の食堂があるマンションが寮代わりで、1学年3~5人ずつが一緒に生活していました。ユースでは試合にずっと出ていて、高校3年の時にはトップチームの練習にも参加していたので、きっとトップチームでも通用するという自負があったんです。でも高校卒業後、いざ昇格してみたら自分の技術では全く通用しませんでした」

当時の愛媛FCにはゴールキーパーが4名いて、阿部選手は最年少だった。
「そこでヴォルティスでも活躍した川北裕介さん(現・愛媛FCユースGKコーチ)や羽田敬介さん(現・清水エスパルスユースGKコーチ)などと練習できたことが本当に勉強になったし、今の自分に活きています。特に羽田さんは当時、プロ10年目にして試合に続けて出場できるようになった方で “キーパーはいつ出番がまわってくるか分からないのだから、少しでもネガティブな考えを持っているとプレーに出てしまう。ミスは付きものなのだから、何を言われようと気にせずにポジティブにやっていけば、いざ試合に出た時でもシュートを止められるし、勢いも出る”と教えてもらったことが一番心に残っています。今、試合に出られないのは悔しいですが、その言葉通り、チャンスに備えて常に準備をしています」

トップチーム昇格後、2年目のシーズンは半年間の契約となり、その後、半年延長になるもののシーズン終了時には戦力外通告を受ける。
「20歳でした。でも、そのまま愛媛FCでプレーできていたら気づかなかった部分も多いので、今は厳しい判断をしてくれたことに感謝しています。その後は徳島ヴォルティス・セカンド(2010年に活動終了)に加入し、実家の仕事を手伝いながら練習に参加する生活でした。朝9時から昼までは練習、昼ご飯を食べたら、選手それぞれが仕事に行くんです。セカンドでは四国サッカーリーグ13試合に出場しましたが、試合の中で自信をつけた部分も大きかったです。当時、カマタマーレ讃岐といい勝負を続けていたのですが、プロとして活躍していた選手もいてレベルが高く、刺激を受けました。四国リーグで試合に出続けたことで、自信を持ってできている部分も大きいです。もちろん、プロチームとの差を感じる部分もあり、そこはトレーニングして解消できるようにしています。セカンドではケガをした選手に代わってトップチームのキャンプにも参加させてもらったり、一時期はトップ登録をしてもらったりしたこともあり、とてもいい経験になりました」

地元・徳島に
J1のチームがある喜び

徳島ヴォルティス・セカンドで1年間プレーした翌年、2009シーズンにトップチームに昇格。J1昇格を掲げてきたチームをずっと知る阿部選手だが、昇格、そして現在のチームをどんなふうに見ているのだろう。
「自分がヴォルティスに加入した頃からJ1昇格というスローガンを掲げるようになって、毎シーズン、みんなでそれに向かって頑張ってきました。ずっと“J1に上がったらどんな感じなんだろう”と思いながらやってきたし、自分の地元でもある徳島にJ1のチームがあれば、サッカーにもっと関心を持ってもらえるだろう、サッカーをやる子どもたちも増えるだろうという期待もありました。だから、J1昇格が決まった時は、自分は出場こそしていなかったけれど、メチャクチャうれしかったです」

それだけに自分が育った徳島にJ1のチームが存在することへの喜び、そしてJ1で戦うことへの思いも強い。
「もし、自分が子どもの時にJ1の試合を間近で見ていたら違っていたと思うんですね。だから、せっかく今、徳島県に日本のトップリーグがあるのだから、もっと試合を見に来てもらいたいなと。もちろん、結果を出せていないことは歯がゆいですが、そのためにも絶対にホームでの勝利を届けたいと思いますし、地元出身の選手としてできることがあればやりたいと思っています。なかなか勝ちきれず、最下位という厳しい状況が続いていますが、毎試合、絶対に勝つという気持ちでチームは毎日トレーニングをして試合に臨んでいます。スタジアムや練習場での声援が大きな力になるので、ぜひ残りの試合も応援に来てほしいです」

声援が大きな力になります

*文中の情報はインタビュー時点のものとなります。

PAGE TOP