Fan zoneファンゾーン

Vol.76 高崎 寛之

降格をいい経験として
活かしたい

シーズン終了まで5試合を残して、10月22日のセレッソ大阪戦でJ2降格が決定してしまった。まずはその時の心境やそこからの試合で感じたことなどを話してもらった。
「1回のミスでも1点を取られてしまうのがJ1ということを痛感させられました。相手にはそれができて、自分たちはそれを決められない。今シーズン、その差を感じることが大きかったですが、セレッソ大阪戦の次の名古屋グランパス戦もまさにそういう試合だったと思います。シーズンを通して、試合をやっている中で正直、自分なりに差は感じていました。絶対に勝てないというほどの違いではありませんが、1回のミスで点を取られてしまうだけでなく、いい攻撃ができている中でも相手のカウンター1本でやられてしまう場面も多かった。うまく入っていけなかった試合も何試合かありました。ただ、圧倒的に相手チームに支配されていたというほどではないし、自分たちがやれることはきちんとできていたと思っています。そんな中で降格という結果になってしまったのは、やはり選手の力、そしてチーム力のどちらも力が足りなかったということだと思います」

開幕から厳しい戦いが続き、リーグ戦で得点できるまでにも開幕から5試合を要した。
「自分としてはシーズンの入りがすごく重要だと考えていました。自分は出場できませんでしたが、開幕戦のサガン鳥栖戦が0-5という大敗となり、自信を失ってしまったという面は少なからずあったと思います。もし、違う形でシーズンに入れていたら、その後は変わっていたのではないかという気持ちもあります。でも、(W杯による)中断後はボールを散らすことができるベレス(エステバン選手)や1人でボールを前に運べるアド(アドリアーノ選手)が入ったことで、他の選手の意識も変わりました。沖縄キャンプで炎天下のきつく息苦しい中で、毎日練習をして心拍を上げられたことも大きかったですし、何よりもみんなの気持ちが前に向かったことが大きいと思います。中断後のサッカーが一番よかったですね」

中断後、1戦目となった7月19日の第15節名古屋グランパス戦に1-1で引き分けたのを皮切りに、第17節大宮アルディージャ戦には3-1で勝利し、第18節ヴァンフォーレ甲府戦に2-2で引き分けるなど、勝ち点を積み重ねていった。だが、8月23日の第21節アルビレックス新潟戦に2-1で勝利した後は再び勝てない試合が続いた。
「でも、明らかに中断前とは違い、消極的なゲームではありませんでした。ただ、チームと個人の力に差があり、相手が上回っていたということだと思います。うちのサッカーは前にボールを出して、少しずつラインを上げていくシンプルなサッカーです。ドリブルで突破したり、うまくパスをつなぎながら崩したりするわけではない。やはり守備的にならざるをえない分、攻撃に手数をかけられなかったことも得点力不足につながったと思います。守備でボールを奪った後、どうボールを運ぶか、どう攻めていくかというのが重要で、それはこれからの課題ですし、降格を経験したことをそこで終わりにせずに何かしらの形で活かして個人としてもチームとしても成長していきたいと思っています。

自分の得点数には
納得していない

昨シーズンはJ2で25試合に出場し、2得点だった高崎選手。今シーズンは第31節まで28試合に出場して7得点を挙げており、浦和レッズでプレーした3シーズンよりも高い得点数となった。
「今シーズンはシーズン前のキャンプでも調子が良く、体も動いていましたし、体が切れていました。それに何よりも自分で信頼を勝ち取って、ワントップを任せてもらえたということが大きかったと思います。正直なところ、去年も自分ではできていないとは思っていなかったのですが、そこでチャンスをつかむことができなかったのは自分の力不足です。監督の信頼を勝ち取るためにはチームのみんなの信頼も勝ち取らなければいけないわけですが、それを日々の練習やゲームで去年よりも表現できたということが自分にとっては一番大きいです」

今シーズンは守備的なシステムでの1トップを任されることが多かったが、中断後はシュート決定率の高さにも注目が集まった。
「1トップで頑張っていると言ってくださる方も多かったのですが、プロの世界なので頑張るのは大前提です。そこで結果がついてくるかがサッカー選手として大事なところだと思っています。頑張った上で何ができるかを自分なりに大切にしているので、今の得点数は自分では全く納得のいっていない数字です。少ないチャンスの中でもっと決めなければいけないシーンもあったと思いますし、大事な試合で点を取れないことも続きました。そこは自分の力のなさだと思っています。ただ、もう少しシュートを打つ機会が欲しかったという気持ちはあります。流れの悪い時、攻められている時、狙える時は狙うという積極的な姿勢も大事にはしていましたが、ボール支配率は圧倒的に相手の方が高いだけに難しさはありました。だから、練習の時から他の選手には、とにかく自分の前にボールを落としてくれ、奪ったらとにかく前に入れてくれと伝えていました。そこでファールをもらうなり、溜めをつくるなりするからと。そういうところでいい形も作れていたので、今後はもっと他のバリエーションを増やしていかなければいけないというのは、チーム全体で取り組んでいくことだと思います」

選手、サポーターが
高め合っていくことで
もっとよいチームになる

降格決定後、2試合を終え、残るはホームでのサガン鳥栖戦、アウェイでのベガルタ仙台戦、そして最終戦となるホームでのガンバ大阪戦の3試合となった。
「自分たちは責任を全うするために力を注いで戦ってきました。降格が決まった後の試合でもそれは同じですし、シーズンを通じ、どんな試合であっても最終戦まで全力で戦うのはサッカー選手としては当たり前のことです。これは僕だけでなく、他の選手も同じように思っているはずです。もちろん、今からサッカーのスタイルや技術を変えるのは難しいので、まず、気持ちで負けないということが大事だと思うんです。気持ちでそんなに変わるのかと思われるかもしれませんが、絶対に相手に抜かれないとか、思いきり体をぶつけられても負けないとか、絶対に勝ってやるという強い気持ちが、技術不足を補う部分であることは確かです。同じサッカー選手であり、同じJリーグで戦っている相手なのだから、やっぱり気持ちが強いチームの方が勝つわけで、絶対に倒すという気持ちでやりたいですね。あと3試合、ホームでの勝利を含め1つでも多く勝つしかないと思います」

チームの気持ちの強さに加え、サポーターの存在、そして応援の力も大きい。
「僕たちが試合に勝てずに、つらいときも応援があるからこそ頑張ってこられましたし、本当にサポーターのみなさんには感謝しています。昨シーズンよりもスタジアムに来てくれる人も増えたのは嬉しいことです。ただJ1でプレーしていることをもっと身近に感じて欲しかったし、もっと多くの方にスタジアムに来て欲しかったという気持ちもあります。もちろん、自分たちが結果を残せず、応援してもまた負けてしまうだろうと思わせてしまった部分があるのかもしれません。でも、ヴォルティスというチームは選手とサポーターがいて初めて1つのチームになるのであって、どちらかが欠けたら成り立ちません。今シーズンは初めてのJ1ということで、結果が伴わない中で、チームとサポーターが時にうまくいかない部分もあったと思います。ただ、そのような状況があっても、そこからプラスに持っていけるような話ができるようにしていかなければいけないと思いますし、プラスになる争いであって欲しいと思います。1年目でそういう経験ができたのはお互いにとってプラスになると思いますし、次に昇格するために、そして昇格した後に活かせれば、もっともっとチームは前進すると思います。これからも選手、サポーターが共に高め合っていくことで、もっとよいチームになると思いますし、スタジアムに応援に来てくれるサポーターも多くなると信じています」

ホームでの勝利を含め1つでも多く勝つ

PAGE TOP