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Vol.78 斉藤 大介

監督の戦術や戦い方が
浸透したキャンプ

1月から2月にかけて行われた高知での1次キャンプ、宮崎での2次キャンプでは、精力的に全メニューをこなした斉藤選手。
「1次キャンプでは基礎体力作りができたことに加え、練習試合にも2試合出られたことが自分としては大きかったですし、チームとしても体力をつけるため、90分間走り切るためのベースをうまく作れたと思います。2次キャンプでは実戦形式を中心に、フィジカルの面でもミドルパワーからハイパワーまでの試合に近い形でトレーニングを積むことができました。練習試合については3試合とも90分間フルで出させてもらったことでコンディションが上向きになりましたし、なかなか結果にはつながらなかったものの、チームとしても小林監督の目指す戦術や戦い方が浸透して、充実したよいキャンプでした」

2012年8月に右アキレス腱断裂の重傷を負い、シーズン後半をリハビリに費やしただけに、開幕を迎えるに当たっては何よりもケガをしないことに注力したという。
「ケガをしないことはチームへの貢献の1つだと考えているので、1次キャンプ、2次キャンプで与えられた全メニューをこなせたことは自分にとってとても大きいです。常に練習から100%やり切ることが大事だと思っていますし、これからも体のケアを怠らずに毎試合、良いコンディションで臨めるように心がけて準備していきたいですね」

常にチームに何が必要かを考えるようにしている

小林監督から3シーズン目となるキャプテンに任命されたのは、開幕戦の5日ほど前だったという。
「3年連続ということもありましたし、僕個人としては中堅の選手がやったほうがいいんじゃないかという思いも少しありました。でも監督から色々と考えた上で任命したと言っていただいたので、その思いに応え、自分なりに頑張っていければという思いで引き受けました」

監督からは“試合に出場している時もいない時もチームのこともしっかりと考えられる意識の高い選手だから”という言葉もあったという。実際、昨シーズンは自身が試合に出ていない時であっても、チームをいい形に持っていくために常に準備を行い、選手に配慮する姿が見られた。
「試合に出られる時はもちろん出られない時であっても、すべての結果は自分に返ってきます。だから、どんな状況であっても全力でプレーしていますし、チームに何が必要かを考えるようにしています。この世界は1年1年が勝負なので、例え試合に出られない時でも“自分だったらどうするか?”とイメージしながら練習することを心がけて、チャンスが来た時の準備を怠らないようにしていますね」

では、斉藤選手の考えるキャプテン像とはどんなものなのだろうか。
「今のチームは監督が掲げる全員攻撃、全員守備を率先して実行できる、真面目な選手ばかりです。ただ、若い選手はなかなか意見を言いづらい部分もあると思うので、自分がチームを引っ張っていくというよりは、選手のやる気や意欲をうまくサポートしていきたいですね。僕個人は監督やヘッドコーチなどの考えも聞いた上で、選手自身も自分の意見を持ち、自らアクションを起こしていくことも必要だと考えています。そうすることで選手がお互いに“状況に応じてこう動く”という考えを共有してプレーできれば、一戦一戦勝ちに結びつけていくことができるはずなので、日頃の練習からそういうチャレンジをしていく必要があると思っています。試合では出ている選手が何を感じてプレーするか、そして準備してきたことを思い切って出すことが大事ですし、その積み重ねがJ1復帰につながっていくはずです。そういうところを手助けできればいいですし、うまくいかない時は選手同士でたくさん話をできるようにしていきたいです」

どんな状況であっても全力でプレーしている

最後まであきらめずに
プレーすることが大事

3月8日にホームで行われた開幕戦の愛媛FC戦。斉藤選手はフル出場し、決してチャンスが多くなかった中でシュートを打つなど攻める姿勢を見せた。
「開幕戦ということで硬さもあったと思いますが、自分たちの思い描くサッカーができず、決定的なチャンスもつくれないままで苦しい展開になりました。ホームでの開幕戦、しかも四国ダービーでファン・サポーターもたくさん来てくれていたので勝ちたい気持ちは強かったですが、試合内容は相手が上回っていたと思いますし、いつ失点してもおかしくない状況の中でも粘り強く失点を防ぎ、勝点1を取れたことは大きかったと思います」

第2節のギラヴァンツ北九州戦はアウェイで敗れるが“まだシーズンの42分の2が終わっただけだ”と、すぐに気持ちを切り替え、次の試合に向けた準備に集中していた。そして、第3節のFC岐阜戦で今シーズンの初勝利を挙げた試合後にはこのように話した。
「勝点3を取り切ることができて良かったです。先発の11人だけではなくて、途中から入った選手が自分の役割だけでなく、チームのために何をしなければいけないかということも考えてプレーできたのではないかと思います。試合は11人だけでするものではないので、11人で勝ち切るというのは難しいことです。途中から入る選手が流れを変えたり、チャンスを作ったりすることが大事だと思いますし、そうやってチームがパワーアップしていくことが必要です。僕自身も途中からでしたがバランスを取りながら、相手を抑えることができましたし、うまくベレス(エステバン選手)と連携を保ちながらできたと思います。まだ1勝なので次につなげるべく、進んでいきたいと思います」

そして、これから続くシーズンの展望と大事にしたいことを、昨年の大きなハイライトでもあった、最終節のガンバ大阪戦を含めて振り返りながら、次のように結んだ。
「これだけホームで勝てませんでしたし(第3節が1年4か月ぶりの勝利だった)、昨シーズンはJ1の中で勝つ難しさを思い知らされた1年でしたが、サポーターの皆さんもその気持ちを忘れることなく“ホームでの1勝を!”という思いで応援を続けてくれていたと思います。1勝できたということで、ここからホームで勝ち続けられるようにしたい。ホームの勝利というのはすごく大事ですし、どちらに転ぶかわからない試合をホームでものにできたというのはこれからの自信につながると思うので、毎試合勝点3を目指して、積極的に自信を持ってプレーしていきたいです。今後は自分たちのいい時間帯を増やすことで得点のチャンスも増えるはずなので、チームでやろうとしていることを全員が実行できるようにしたい。試合に出るのは監督に選ばれた11人なので、チームの代表という気持ちで思い切ってプレーすることが大事ですし、相手に負けない玉際の強さを出していきたい。例えば昨シーズンの最終戦となったガンバ大阪戦では、出ている選手たちが躍動感あるプレーやあきらめない姿勢を見せ、気持ちの上ではあきらかに相手を上回っていました。もちろん最後にホームで一勝したい、優勝がかかる相手にホームで胴上げをさせたくないという気持ちも原動力になっていましたが、あれは自分たちらしい戦い方ができた、今シーズンにつながる試合だったと思います。ああいう試合を増やしていけば絶対に1年でJ1に復帰できるはずなので、そういう戦い方を今シーズン、いかに多くできるかだと思います。さらに例え試合の内容がよくなくても勝ち切ることができるチームになれば、雰囲気もさらによくなっていくと思います。何よりも最後まであきらめずにプレーすることが大事で、そういうプレーならファン・サポーターも“次の試合は頑張ろう”という気持ちを持ち続けて応援していただけるのではないかと思っています」

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