Fan zoneファンゾーン

Vol.83 井澤 惇

準備してきたことが形になった
ファジアーノ岡山戦

7月18日に行われた第24節ファジアーノ岡山戦で、後半58分に途中出場。右サイドからファーサイドのエステバン選手に絶妙なパスを出し、この試合3得点目となるゴールをアシストした。
さらに7月26日に行われた第26節ツエーゲン金沢戦でも、後半62分に途中出場してシュートチャンスを作る活躍を見せ、チームの3連勝に貢献した。
「途中出場の場合、勝っている試合と負けている試合とではやるべきことが変わります。勝っている時なら守備をしっかりしてゼロで抑えることが大事ですし、負けている時ならパスをもらっての飛び出しなどが必要です。ファジアーノ岡山戦、ツエーゲン金沢戦はどちらも勝っている試合で、後半の途中出場だったので、みんなが疲れている時に自分がボールを落ち着かせたりできればいいという気持ちで入りました」

ファジアーノ岡山戦は第15節コンサドーレ札幌戦以来の試合出場となった。
「試合に出た時にいいパフォーマンスができるように常に準備をしておこうという気持ちで過ごしてきたことが、形になったと思います。試合に出ていない間、せっかくいい試合をしているのに最後のところで点を取られてしまうことが多く、試合の終わらせ方が課題だと思って見ていました。勝てない試合が続きましたが、試合自体は勝てていない時期も良くなっていたと思います。そういう時期を経て、ファジアーノ岡山戦からの3試合は先制点を取れるようになったことが勝ちにつながっていると思うので、今後もこの形が続くようにしたいですね」

背番号10を背負い、
1年でのJ1昇格に貢献

井澤選手は東京都出身。中学入学と同時にFC東京のユースチームであるFC東京U−15に加入した。小さい頃から漠然とプロになりたいと考えていたが、ユースチーム時代にトップチームの練習やキャンプに参加したことで、その意識が強くなっていったという。
「指導者の方も熱心に指導してくださり、とてもよい環境でサッカーができたと思います。陽次(佐々木選手)は年代が重なっていないのですが、広太朗(藤原選手)は1つ下なので、中学の頃から一緒に練習していましたし、プールや映画など遊びにも行ったりしていましたね」

高校卒業後、FC東京でのトップチーム昇格は叶わなかったが、大学進学は考えず、プロになることを選択。2008シーズンにJ2のカテゴリーに属していたヴァンフォーレ甲府に加入する。
「FC東京のトップチーム以外の選択肢を考えるようになってから甲府の練習に参加しました。大木武監督のショートパスをつなぐサッカーが魅力的だな、ここでプレーしてみたいなと思っていたところ、オファーをいただいたんです」

だが、加入1年目の試合出場は1試合。2年目は8試合と増えたもののケガの影響もあり、3年目はゼロとなった。そして、4年目にヴァンフォーレ甲府はJ1に昇格する。
「長い間、なかなか試合には出られませんでしたが、それでも自分の技術やボールの扱いには自信を持っていたので、必ずチャンスは来ると思って練習に取り組んでいました。特にJ1に昇格してからは、もう後がないという気持ちで取り組み、アクセントとなるプレーなど3年間やってきたことが徐々に出せるようになったんです」

加入5年目となる2012シーズン、ヴァンフォーレ甲府は再びJ2のカテゴリーに属することとなった。井澤選手は背番号10番を背負い、加入以来、最多となる31試合に出場。1年でのJ1復帰に貢献する。
「あのシーズンは相当なプレッシャーがありました。でも、やらなきゃいけないという気持ちもありましたし、当時、同じチームでプレーしていたトミさん(冨田選手)をはじめ、色々な先輩方に引っ張ってもらいました。チームも1つにまとまってJ1昇格という目標に向かっていたので、良い結果を残せたのだと思います」

チームが1つの方向に
向かっていくことが大事

しかし、2013シーズンになると出場機会が減り、2014シーズンはシーズン途中でカターレ富山に期限付き移籍する。加入した時期、富山はJ3への降格の可能性もある順位だった。
「出場機会が減ったのは悔しかったですが、それでも自分はできるという気持ちを失うことなくやってきました。富山ではシーズン途中からの加入でしたが、もっと貢献できればと悔いが残っています。シーズン後半に負けが続いてしまってから巻き返す難しさや、チームが1つになって戦い続けていくことの大切さを痛感したシーズンでした」

そして、2014シーズン限りでヴァンフォーレ甲府を退団し、2015シーズンからヴォルティスで新しいスタートを切った。
「甲府でプロとしてスタートして、富山への移籍期間を除くと6年半プレーしました。地域密着でファン・サポーターにとても愛されているクラブだったこともあり、退団するのはつらかったです。でも、甲府でプレーしたことで攻撃だけでなく、守備の大切さにも改めて気づくことができたので、もう一度違う環境で自分を成長させたかった。甲府のサポーターに自分はやれるんだということを証明したいという気持ちもあったので、ヴォルティスでJ1に昇格して甲府と対戦することを目標の1つに掲げて加入しました」

ヴォルティスに加入してからは1日1日の練習を大事にしてきたが、開幕戦出場はならず、第12節ツエーゲン金沢戦がヴォルティスでの初めての試合出場となった。
「選手に自分のプレーの特徴を知ってもらうなど、チームに馴染むまでに思っていた以上に時間がかかってしまったことも、なかなか試合に出られなかった理由の1つだと思っています。試合に出られない期間は長さん(FC東京ユースでも指導を受けていた、長島ヘッドコーチ)からもいい準備をしておくように言われていましたし、いつ出てもいいようにパスの練習などをくり返してきました。そうやって出られない期間に積み重ねてきたことを、これから出していきたいですね」

今シーズン後半から再び出場機会が増え、試合でも存在感を示している井澤選手。出場した試合で見せた、ボールコントロールやパスの巧みさに加えて、コンビネーションからシュートシーンに絡む決定機を作る役割も担うことができる。相手の選手の間をうまく取って、ペナルティエリアに入ってチャンスを作れるのが持ち味で、これから大事な試合が続く中、その活躍に期待が高まる。
「体が小さいせいもありますが、相手に当たらせないということは意識しています。監督に求められる攻撃、守備を行うのはもちろんですが、それに加えてリズムをつくることやつなぎ役になるなど、最後のパスの精度で違いを出していきたいです。ピッチのシュートにつながる最後の3分の1の部分で、得意とするパスやクロスなどのプレーをもっと見せていきたいですね。試合に出ている時はもちろん出ていない時も常に上を目指そうという気持ちでやっていますが、後半戦になっていい形の試合が増えてきているので、そういう試合が続くようにチームに貢献していきたいです」

ヴァンフォーレ甲府で中心選手としてJ1復帰を実現した経験から、これからの戦いには何が必要だと感じているのだろうか。
「勝つべき試合では勝ち切り、時に引き分ける試合があったとしても絶対に負けない戦いを続けていくことです。そして何よりもチームが1つの方向に向かっていくことが大事だと思います。自分は “絶対にできる”という自信を持ってやっていますし、それがプロとして当然のことだと思っています。厳しい状況が続きますが、そんな中でも自分はサッカー選手としてのモットーである“楽しくサッカーをやる”ということも大切にしながらプレーしていきたいですね」

全員が同じ方向を向いて努力し続けていく

PAGE TOP