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Vol.86 木村祐志選手×佐藤美希さん 対談

ゴールを喜んでいるサポーターの姿を見るのがうれしい—— 木村祐志選手 ——

----ホームで行われた第34節セレッソ大阪戦を控えた9月25日、2015Jリーグ女子マネージャーの佐藤美希さんがヴォルティスの徳島スポーツビレッジを訪れた。

女性や若年層をはじめ一人でも多くの人にJリーグやサッカーに興味を持ってもらえるように、就任以来、J1、J2のチームやスタジアムをまわり、感じてきたことを伝えてきた佐藤さん。ヴォルティスでは試合やスタジアムでの楽しみ方について木村祐志選手とともに対談した。

佐藤今年2月に女子マネージャーに就任してから、色々なクラブを訪問したり、スタジアムでイベントに参加したりしてきて、ヴォルティスが32クラブ目になります。

実は就任当初はサッカーのルールどころか何人でするのかすら分からなかったんです。でも今は細かいルールこそまだ分からない部分があるものの、試合を見るのが楽しくなり、90分間があっという間だと感じるようになりました。まわりにJリーグファンの友達も多いので、最近は一緒に試合を見に行くことも増えました。

これまでテレビ番組などで選手にインタビューする機会はありましたが、こういう対談は初めてです。毎回、各チームの試合をスタジアムで観戦させていただいているのですが、ここに注目すればもっと試合を楽しめるとか、チームとしてここを観て欲しいというようなポイントがあったら教えてください。

木村初めての方だったら、やはりゴールシーンが一番楽しいし、分かりやすいと思います。シュートが入った、キーパーや守備の選手が守ったというシーンは盛り上がりますし、特に得点した時はサポーターが喜んでいるのが見えるから、自分たち選手もすごくうれしいんです。ぜひ注目して欲しいですし、そういうシーンをもっと増やしていかなければいけないと思っています。

佐藤ピッチの選手から観客席のサポーターがはっきり見えるんですか?

木村見えます。サポーターが喜んでいる姿というのは本当にうれしいから、自分はゴールを決めた後、思わずゴール裏のサポーターのところに走ってしまうことが多いんです。喜びをサポーターにも持っていくという感じですね。

佐藤サポーターからしたら、近くに来てくれたらうれしいですよね。

木村後でサポーターの方に「来てくれてありがとう」と言っていただくこともあって、それもうれしいです。
相手ゴールの位置によってはサポーターの所まで走る距離が長くなりますし、自分は後半に得点することが多いので、選手としては体力を消耗しないほうがよいのですが、どんな時でもアレックス選手は必ず一緒に走ってきてくれます。選手のゴール後のシーンには、だいたいアレックス選手がいるはずです(笑)。

佐藤次回の試合に気をつけて見てみます(笑)。サポーターが盛り上がるという点では、カウンター攻撃もすごいなと思うんですよね。

木村浦和レッズなど、Jリーグの中でも特に入場者数の多い試合だと、カウンターの盛り上がりもすごい。ピッチの中で選手同士の声が聞こえないぐらいなんです。そういう意味ではヴォルティスの試合ももっと盛り上げたいですね。

佐藤他に知っていると、より試合を楽しめるようなポイントはありますか?

木村フリーキックですかね。自分としては決めたいという気持ちが一番強いんですが、実はいろんなことを考えながら蹴っているんです。キーパーとの駆け引きとか、キーパーがちょっと左に動いたから右を狙うとか、そういうのを知っていると面白いと思います。
選手によって蹴り方も様々なんです。子どもを対象にしたサッカー教室をやることがありますが、子どもたちは本当によく見ていて「この選手のまね」とか言いながら蹴っているんですよ。僕も小さい頃はベッカム選手の蹴り方をよくまねしていましたね。そうやってスタジアムに来てくれるファン・サポーターが増えていくように頑張らなきゃいけないと思っています。

佐藤なるほど。そういうふうに好きな選手をつくるのも、スタジアムに行く楽しみの1つになりますね。私も様々なスタジアムのイベントに出させてもらっていますが、女性サポーターのために選手を集めてサイン会をしていたりすることもありますし、ハーフタイムなどに行われるアーティストのライブなどが目的で来る方もいますよね。

木村ヴォルティスのホーム戦ではハーフタイムに阿波おどりが見られることがあります。今年の夏、初めて徳島の阿波おどりに参加したんですけど、迫力がすごかったです。阿波おどりの時期の徳島は「こんなに人がいるのを初めて見た」っていうぐらい人が多いですし、翌年の宿泊予約をして帰る方も多いからホテルも予約が取れないらしいんですが、毎年、来たくなる気持ちが分かりましたね。

佐藤すごいんですね!阿波おどり見てみたいです。

木村ヴォルティスのサポーターは応援する時に阿波おどりに使う鉦(かね)を鳴らしているので、ぜひ注意して聴いてみてください。
試合を観にくるきっかけはどんなことでもいいと思うんです。カッコいい選手がいるからとか、足が速い選手のプレーを観たいとか…。色々な楽しみ方をしてもらいたいと思います。そうやって試合を観ているうちにルールなども理解できるようになって、もっと深く理解できるようになるはずです。
僕は中学生の時、川崎フロンターレのユースチームでサッカーをやっていたのですが、当時、J2でホームの試合の入場者数は3000人から5000人ぐらいだったんです。それが今では平均2万人を超えるまでになっています。そう考えるとどのチームも入場者数を増やせるはずなので、そのためにどうしたら興味を持ってスタジアムに足を運んでもらえるかをいつも考えています。

スタジアムグルメには食べたいものがいっぱいあります—— Jリーグ女子マネージャー佐藤美希さん ——

佐藤私は栃木出身なのですが、今まであまり関東近辺から出たことがなかったんです。でも、今はほぼ毎週末スタジアムに行っているので、全国各地へのプチ旅行を楽しんでいます。毎試合、アウェイに応援に行くサポーターみたいですね。
スタジアムグルメは絶対食べるようにしていて、毎回、食べたいものがいっぱいあります。モデルのお仕事もあるので、体のために東京にいる時はおいしいものを我慢しているんです(笑)。

木村自分たちはスタジアムグルメを食べる機会がないので、食べてみたいですね。ただ、選手も試合前日の食事を楽しみにしていて、その土地の有名なものが出るのはうれしいんです。たまにご当地メニューの出ないホテルがあって、そういう時はがっかりしますけど(笑)。選手も試合をするために来ているとはいえ、やっぱりおいしいものを食べたいんですよね。
これまで色々なタジアムを訪れたと思いますが、スタジアムによって雰囲気もだいぶ変わりますか?

佐藤全然、違いますね。一番印象に残っているのは、松本山雅FCの試合が行われるアルウィン(松本平広域公園総合球技場)です。スタジアム360度、応援席全員が一緒になって応援している感覚なんです。プレーの状況が分からない時でも「今、いいプレーがあったんだ」と分かるので、初めてサッカーを観る人も楽しめると思います。

木村自分もプレーしたことがありますが、球技専用スタジアムだから選手としてもやり甲斐を感じると思うんです。
あと、観客席と一体感を感じられるスタジアムの場合、相手チームが点を取ったりすると、2万人近いサポーターがサーッと静かになってしまう。選手としてはそういう瞬間も気持ちいいんです。それだけにアウェイのチームとしてプレーする時は、得点を決めて相手サポーターの応援を黙らせてやるぞという気持ちもモチベーションになりますね。
そうやってたくさんの人が後押ししているチームは、やはり強くなると思います。

佐藤サポーターの力って本当に大きいんですね。そういえばサッカーを観るようになって気になったことがあります。取材などに行っても選手とはめったに話せないですし、試合の真剣な表情からはプライベートが想像できなくて。木村選手はお休みの日は何をしているんですか?

木村ふだんは家にいてテレビを観ながらゆっくりしていることが多いですが、今年から犬を飼い始めたので楽しいです。
2連休の時はゴルフをすることもあります。20歳ぐらいの時にゴルフ用具をもらったのがきっかけです。

佐藤ゴルフをしている選手って多いですね。ゴルフや釣りをやっているというのはよく聞きます。

木村意外と時間はあるので、自分次第で有効に使えるんです。他の選手が何をしてるのかあまり知らないので、気になりますね。
試合とは違う選手の姿を見るなら、ファン感謝祭に参加するのも楽しいですよ。フロンターレにいた時は「ファン感謝デー」というイベントがあったのですが、そのために踊りを練習したりとかしていましたから。絶対行ってみたほうがいいですし、選手の違った一面も感じられると思います。

佐藤選手の素顔を知ることで、もっとサッカーを楽しめそうですね。こうやってインタビューさせていただくと、その選手に興味を持つようになりますし、やはり注目する選手がいると試合を見るのも面白くなります。女子マネージャーに任命されて半年が過ぎましたが、私自身、サッカーやJリーグに対する想いはずいぶん変わりました。
木村選手、今日はありがとうございました。この1年でJ1、J2全部のチームをまわって、多くの方にサッカーやJリーグの魅力を知っていただけるようにPRに力を入れていきます。

----対談の翌々日、第34節セレッソ大阪戦をポカリスエットスタジアムで観戦した佐藤さん。試合終了後、次のように語った。

勝ちたかったですけれど、引き分けでしたね。スカパー!のインタビューをさせていただいた(ハーフタイムに放送される「ヴォルティスラボ」のコーナー)冨田選手のゴールが見られたのは嬉しかったです。

特に試合終盤はすごい盛り上がりで、サポーターの声援もすごかったですし、私自身も熱く応援しました。

あと、試合当日はヴォルタくん、ティスちゃんとスタジアムの外をまわったり、写真撮影会などもさせていただきました。ティスちゃんは自転車をこぐのが早くてびっくりしました(笑)。

スタジアムの外では両チームのサポーターともに同じ広場で、ヴォルタくんたちと記念撮影をしたりしていたのが印象的でしたし、「セレッソ大阪のサポーターの皆さん、来ていただいてありがとうございます」というアナウンスに、両チームのファン・サポーターが拍手していて、とてもよい雰囲気だと思いました。

2日間にわたって徳島で活動しましたが、とても楽しむことができました。試合もサポーターの皆さんとの関わりも楽しかったですし、徳島バーガーなどのスタジアムグルメもおいしかったです。夕食に徳島ラーメンを市内で食べた時に、初めてラーメンに生卵を入れましたが、あれは絶対に入れたほうがいいですね(笑)。

そして、何よりヴォルティスのサポーターの皆さんから温かい言葉をたくさんいただいたので、また徳島に来たいです。

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