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Vol.88 渡辺 泰広

すべてが初めての
経験だった移籍

新潟県出身でアルビレックス新潟のユースチームからトップチームに昇格した渡辺選手にとって、今シーズンは初めての経験ばかりだった。
「移籍はもちろんですが、新潟から出ること自体が初めてだったんです。ヴォルティスには知っている選手がいなかったので、新しいチームでプレーすることにも不安がありました。でも、自分も決して人見知りではないので早くチームに溶け込もうと努力しましたし、選手やスタッフも温かく迎えてくれたおかげですんなりとチームに合流することができました」

移籍によって練習環境が変わったことも刺激となった。
「まず驚いたのはグラウンドやトレーニングルームなど、ヴォルティスの練習場の設備が充実していたことです。それに新潟では夏が終わると晴れることがほとんどないんですね。だから徳島では9月以降もよい天気の下で練習ができて気持ちよかったです。風が強いと言われていますが、新潟に比べたら気になりませんでした。そして刺激を受けたのはキーパーコーチの指導についてです。古島(清人)GKコーチはベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)、アビスパ福岡、大宮アルディージャなどで選手として活躍していたので、技術の面でテクニックはもちろん、公式戦の経験を活かした指導をしてもらえたことが大きいですね。プロ経験のあるキーパーコーチに改めて指導を受けたことで “フォワードに威圧されるな”というような試合での経験からくる具体的な心構えを教えてもらえてとても勉強になりました」

トップチームで痛感した
プロの厳しさ

渡辺選手は中学校入学と同時にアルビレックス新潟Jrユースに加入。高校時代はアルビレックス新潟ユースでプレーし、卒業後はトップチームに昇格する。
中学、高校時代は年代別の日本代表に選出され、高校2年生の時には2009 FIFA U-17ワールドカップにも出場している。
「高校2年生の時に2種登録選手となって、シーズンの半分ぐらいはトップチームの練習に参加させてもらっていました。それだけに卒業後、トップチームに昇格した時は、正直なところ、すぐに公式戦に出られると思っていたんです。でもそんなに甘い世界ではないのだとプロの厳しさを痛感しました。それでも苦手だったビルドアップに取り組むなど、常に試合に出ることを意識して練習に臨んできました。新潟には日本代表やアテネオリンピックを経験している選手(東口順昭選手:現ガンバ大阪、黒河貴矢選手:現アルビレックス新潟)もいたので、彼らのよい所をどんどん盗もうと思う反面、腕の長さや身長、体型、スピードが全く同じではないのだから、自分のスタイルを大切にしたいという気持ちも強く持つようになりました」

 

結局、2011シーズンにトップチームに昇格してから4年間、1試合も出場することができなかった。
「トップチームに昇格した年の8月、練習中に全治3カ月の大ケガをしてしまったんです。その後、翌年の10月にも練習中に負傷してしまい、全治9カ月で再び離脱せざるを得ませんでした。ケガのせいにはしたくありませんが、やはり影響は大きかったと思います。本当に悔しかったですし、やはり公式戦に出たいという気持ちが強かったです」

得たものが多かった
ヴォルティスでの1年間

プロになって5年目、出場機会を求めてヴォルティスへの期限付き移籍を決断した。
「開幕からスタメンを取ろうという強い気持ちでチームに合流して、1次キャンプと2次キャンプの練習試合やトレーニングでは、高いパフォーマンスとアピールを心がけました。J1とJ2の違いだけでなく、チームによってサッカーのスタイルも変わるため、ゴール前の選手の動きも新潟とは全く違います。キャンプ中はチームのスタイルに慣れ、キーパーとしての守り方をつかもうと必死でした。それでも今、振り返ると、失点にはつながらなかったもののボールを取り損ねてしまったことがあったんです。わずかな回数でしたが、こういうミスは同じゴールキーパーのザワさん(相澤選手)や徹さん(長谷川選手)には絶対にない。そういう所にも違いがあるのだと納得しながら、トレーニングを積んでいかないといけないと感じました」

 

ベテランの選手も多いヴォルティスでプレーすることで、得たものは多いと語る。
「ザワさん、徹さんは足元の動き、キックなど学ぶことが多いです。ザワさんとは同じ新潟出身なので、リフティングをする時、数を数える代わりに新潟の町名を言い合いながらやったりしてコミュニケーションを取っています(笑)。ディフェンダーの選手からも教えられることが多く、石井選手はワンプレーごとに話をしてくれますし、トミさん(冨田選手)も守り方、攻め方をきちんと言葉にして説明してくれるんです。トミさんは前半戦で試合に出ていない間もずっとチームのことを一番に考えていたし、いざ試合に出るようになったら、いいプレーをしていて本当にカッコいいなと。そういう姿勢も見習いたいですね」

リーグ戦も終了し、2015年も残りわずかとなった。
「試合に出るためにヴォルティスに来ましたが、結局、1試合にも絡めませんでした。そこはやっぱり悔しいですし、今後の課題です。でも、ヴォルティスに来てから今日まで、例え試合に出られなくても気持ちを切らすことは一度もありませんでした。試合には出られませんでしたが、この1年は本当にいい経験になったし、今後に活かしていきたいです。まずは試合に出られるように、そして試合に出たら、そこで感じたことを次の試合で体現できるようにしたい。チームの厳しい状況を救えるようなキーパーとなることが理想ですね。そのためにこれからもしっかりと準備を続けていきたいです」

チームを救えるようなキーパーが理想

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